大野豊 (野球)

大野豊：不屈の魂で掴んだ栄光 - 七色の変化球で魅せたカープのエース

大野豊（おおの ゆたか）は、1955年8月30日生まれ、島根県出雲市出身の元プロ野球選手。1977年から1998年まで広島東洋カープ一筋で活躍し、引退後は野球解説者として活動しています。

プロ入り前

幼少期から砂浜で鍛えられた足腰と、母子家庭で育った苦労が、彼の野球人生の原点にあります。高校卒業後は、家計を助けるために出雲市信用組合へ就職。軟式野球部でプレーを続けながらも、プロへの夢を諦めきれずにいました。1976年秋、広島東洋カープの野球教室に参加したことが転機となり、入団テストを経てドラフト外で広島に入団。

現役時代

プロ1年目は苦い経験を味わいましたが、江夏豊との出会いが彼の才能を開花させます。江夏の指導の下、フォーム改造や変化球の習得に取り組み、中継ぎとして頭角を現しました。1979年にはリーグ最多の58試合に登板。1984年からは先発に転向し、1988年には最優秀防御率のタイトルを獲得、沢村賞を受賞するなど、カープのエースとしてチームを牽引しました。

最速150km/h近いストレートに加え、パームボール、真っスラ、スラーブ、シュート、ドロップなど多彩な変化球を操り、「七色の変化球」と称されました。北別府学、川口和久らと共に、1980年代の広島投手王国を支えました。

1991年には抑えに再転向し、最優秀救援投手に輝き、チームのリーグ優勝に大きく貢献。1993年にはMLBのカリフォルニア・エンゼルスから破格のオファーを受けますが、カープへの愛着からこれを固辞しました。

40歳を超えても活躍を続け、1997年には2度目の最優秀防御率を獲得。1998年には42歳で開幕投手を務めましたが、持病の悪化により同年引退。22年間の現役生活に幕を下ろしました。

引退後

引退後は広島の一軍投手コーチや、野球日本代表の投手コーチを務めました。2013年には野球殿堂入りを果たし、現在はNHK解説者・スポーツニッポンの評論家として活躍しています。

プレースタイル

独特の投球フォームから繰り出される多彩な変化球で、打者のタイミングを外す投球術が持ち味でした。江夏豊から指導を受けた上半身の使い方や、ストレートを投げる際にグローブを握る癖など、その投球フォームには数々の特徴がありました。

人間関係

スカウトの木庭教、師匠とも言える江夏豊、チームメイトの達川光男など、多くの人々に支えられてきました。同学年には掛布雅之、江川卓らがおり、彼らの活躍もまた、大野のモチベーションを高める要因となりました。

詳細情報

最優秀防御率：2回（1988年、1997年）
最優秀救援投手：1回（1991年）
沢村栄治賞：1回（1988年）
野球殿堂競技者表彰（2013年）

大野豊は、その卓越した投球術と不屈の精神で、多くのファンを魅了しました。カープのエースとして、そして野球人として、彼の名は永遠に語り継がれるでしょう。

通算148勝138セーブ、防御率2.90という記録が、その偉大さを物語っています。

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