大金塊

大金塊

『大金塊』は、江戸川乱歩が執筆した少年向け推理小説で、1939年1月から1940年2月にかけて、月刊娯楽雑誌「少年倶楽部」で連載されました。この作品は、乱歩の有名なシリーズの第4話目にあたります。内容は前作『怪人二十面相』から『妖怪博士』にかけての作品と異なり、二十面相に関連する事件ではなく、独立したストーリー展開が特徴です。

概要

作品には探偵の明智小五郎と少年探偵団が登場しますが、彼らの宿敵である怪人二十面相は登場しません。これが影響し、戦前の大日本雄辯會講談社からのオリジナル作品としては、その後の単行本化が多くのケースで遅れた理由となっています。また、戦後、講談社の「江戸川乱歩推理文庫」では、第43巻として長編『超人ニコラ』の後に併録される形で発表されました。さらに、ポプラ社文庫の「少年探偵」シリーズにおいても、掌編や改訂版に続く第68巻として刊行されています。

敵の設定

本作に登場する敵は、黄金窃盗団の女首領です。彼女は目的のために様々な手段を用いる策略家であり、明智小五郎や少年探偵団との知恵比べが繰り広げられます。物語全体を通して、彼女の行動が手がかりとなり、推理の醍醐味が享受されることでしょう。

新兵器と舞台

物語で使用される新兵器は「万能かぎ」であり、これにより犯行の手口や探偵たちの追跡が可能となります。舞台設定は東京都内の杉並区と荒川区で、江戸川乱歩が好んで描く都心の風景がリアルに表現されています。作品内では、これらの地域における事件の推移や探偵団の奮闘が繰り広げられ、当時の雰囲気が色濃く伝わります。

書誌情報

本作については多くの版が発行されています。大日本雄辯会講談社からの初版は1940年に、またその後、1988年には講談社の「江戸川乱歩推理文庫」で第43巻として復刊されました。光文社の「江戸川乱歩全集」では第13巻に収録され、ポプラ社からは1965年の少年探偵シリーズ第5巻として、1988年には文庫版、第68巻として刊行されています。さらに、新装版や文庫クラシック版といった形式でも読者に届けられています。

関連項目

この作品は、明智小五郎や怪人二十面相、少年探偵団など、江戸川乱歩の代表的なキャラクターと深く関わっています。彼らの活動は、推理小説の楽しさだけでなく、当時の社会背景や倫理観を通じて楽しむことができます。

詳細な情報は、青空文庫に掲載されている『大金塊』の新字新仮名版を参照してください。

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