大錦大五郎

大錦 大五郎（おおにしき だいごろう）

大錦 大五郎は1883年3月22日に愛知県海部郡鍋田村稲元（現在の弥富市稲元）にて、大工の息子として生まれました。彼の本名は鳥井 大五郎。力士として活躍する前から、その強い体力と怪力により「稲元の金太郎」と呼ばれていました。これは地元の子供相撲で、いつも年上の相手に勝利していたことが由来です。

力士としてのキャリアのスタート

幼少期には地元で大工として修業を積んだ後、京都で職人になりましたが、その力強さが評判となり、1898年に伊呂波部屋（京都相撲）に入門しました。その後1903年には陣幕部屋（大坂相撲）へ移籍し、ここで目覚ましい才能を発揮しました。

彼は1906年、わずか1場所で十両を通過し、同年2月場所で新入幕を果たしました。しかし、彼の急成長に対し、他の部屋からの批判が多く寄せられ、彼の地位は一時的に制限されました。それでも彼は、その後も成績を伸ばし、次々と昇進し、1910年6月場所後には大関に昇進しました。大関としては9年間にわたってその地位を維持し続けました。

横綱への昇進と引退

1918年5月に横綱免許を授与され、28代目横綱に昇進しました。彼は大坂相撲で三人目の横綱として、その地位で5年にわたって土俵を務めます。そして1922年1月場所を最後に現役を引退しました。引退後は年寄・大錦を襲名し、茶屋を経営しました。

大錦 大五郎の名声

彼は左四つを得意とし、型を持った力士でありましたが、攻撃力に課題があったため、東京相撲との合併興行では強豪力士たちに歯が立たないこともありました。そのため、彼は歴代横綱の中で最も弱いとの評価を受けることもありました。しかし、彼の品格や人格も非常に高く評価され、横綱に選ばれた一因とも考えられています。

また、彼は不勉強な風潮の中で博打をせず、品行方正であったため、周囲から異例の存在とされていました。大正時代にはハワイへ相撲普及のために海外公演を行うなど、力士としての地位を越えた活躍も見せています。

出身地への貢献

大錦の死後、遺族は彼に関する資料を地域に寄贈し、弥富市歴史民俗資料館では彼の肖像画や、実際に使用されていた大うちわなどが展示されています。さらに、彼が寄進した燈籠は出身地に残り、彼の記憶と功績を今に伝えています。

大錦の名を共有する競い手

大五郎と同じ「大錦」の名を持つ力士、卯一郎との対戦する機会もありました。本場所では対戦したことがありませんでしたが、合併興行の場では当時の「朝日山」と名乗っていた大五郎が大錦卯一郎に挑む場面も見受けられました。このようないくつかの出会いは、彼の人生において興味深いエピソードとなっています。

大錦 大五郎はその成功、品位、地域社会への貢献を通じて、多くの人々の記憶に深く刻まれています。

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