大阪市営下寺住宅

大阪市営下寺住宅は、大阪市浪速区下寺二丁目に位置していた集合住宅です。1930年（昭和5年）に竣工したこの建物は、立ち並ぶかまど用の煙突から立ち上る煙の様子が、まるで軍艦のように見えたことから「軍艦アパート」という異名で広く知られていました。

この特徴的な外観は、多くの人々を魅了し、懐古趣味の写真集など、この建物をテーマにした書籍が数多く出版されています。当時としては珍しい鉄筋コンクリート構造を採用しており、各住戸には水洗トイレやダストシュートが完備されているなど、そのモダンな設計は注目を集めました。

竣工当時は、最先端の技術とデザインが取り入れられた住宅であり、人々の生活様式を大きく変えるものでした。しかし、時代の流れとともに老朽化が進み、2006年（平成18年）に惜しまれつつも解体されました。解体時においては、国内で最も古い鉄筋コンクリート造の公営住宅であり、その歴史的価値は非常に高いものでした。当時の家賃は月に200円から300円程度と、非常に安価であったことも特筆すべき点でしょう。

下寺住宅の跡地には、現在、ライフ下寺店が建っており、かつての姿を偲ぶことはできません。しかし、その記録は、写真や書籍を通じて今もなお語り継がれています。

関連事項

端島（長崎県）：1916年（大正5年）に完成した30号棟は、日本初の鉄筋コンクリート造の集合住宅です。下寺住宅と比較されることもしばしばあります。
同潤会アパート：1923年（大正12年）に設立された同潤会によって建設されたアパート群も、当時の集合住宅建築を語る上で欠かせない存在です。

外部リンク

下寺住宅の記録
大阪市営下寺住宅

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