大阪市歌

大阪市歌：大阪の歴史と文化を彩る歌

「大阪市歌」は、日本の政令指定都市である大阪市の市歌です。作詞は堀沢周安、作曲は中田章によって、1921年（大正10年）に制定されました。しかし、現在の市歌が制定される以前にも、「大阪市歌」と呼ばれる楽曲が存在していました。

大阪朝日新聞選定の「大阪市の歌」

1903年（明治36年）、大阪朝日新聞が歌詞を一般公募し、一柳安次郎（芳風）作詞、小山作之助・山田源一郎作曲による「大阪市の歌」が誕生しました。この歌は、箏・琴の名曲として広く親しまれ、『手風琴独稽古』にも掲載されるほどでした。

作詞者の一柳安次郎は、1942年（昭和17年）以前に亡くなっています。作曲者の小山作之助と山田源一郎は、共に1927年（昭和2年）に亡くなっており、この「大阪市の歌」は、詞・曲ともに著作権が消滅し、パブリックドメインとなっています。

この「大阪市の歌」は、手習い用の曲として複数の歌集に掲載されるなど、広く愛唱されましたが、正式な市歌としては扱われませんでした。

現在の「大阪市歌」の制定

1921年（大正10年）、第6代大阪市長の池上四郎が、3代目大阪市庁舎の落成を記念して、正式な市歌の制定を提唱しました。森鷗外や幸田露伴らを審査委員に迎え、歌詞を一般公募した結果、全国から2,398編の応募作が集まりました。

その中から、当時の旧制三豊中学校（現在の香川県立観音寺第一高等学校）校長であった堀沢周安の作品が一等入選として採用され、中田章が作曲を手掛けました。こうして誕生したのが、現在の「大阪市歌」です。政令指定都市の現行市歌としては、横浜市歌（1909年制定）、名古屋市歌（1910年制定）に次いで3番目に古い歴史を持ちます。

制定時にはSP盤が作成され、その後も何度かレコード化されています。現在も大阪市が発行する市勢要覧に歌詞と楽譜が掲載されており、市主催の行事や市立校の卒業式などで演奏されています。

大阪府歌との関係

戦前の三府（東京府、京都府、大阪府）のうち、東京府と京都府はそれぞれ「東京都歌」（1947年制定）、「京都府の歌」（1984年制定）を制定しましたが、大阪府は現在も府歌を制定していません。そのため、一部の文献では、この大阪市歌が大阪府を代表する歌として紹介されることがあります。

その他の大阪市関連楽曲

大阪市歌以外にも、大阪市に関連する楽曲として、大阪市と大阪市教育委員会が1953年（昭和28年）に選定した愛唱歌「陽はわかし」や、1959年（昭和34年）に市制70周年を記念して選定した「あなたの胸に わたしの胸に」があります。

歌詞と著作権

「大阪市歌」の歌詞、旋律は著作権の保護期間を満了しており、パブリックドメインとなっています。

制定当初、歌詞の一部が1929年（昭和4年）に改訂されています。

大阪市歌は、大阪の歴史と文化を象徴する歌として、今もなお大切に歌い継がれています。

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