大阪市立博物館

大阪市立博物館：歴史的建造物から複合施設へ

大阪市立博物館は、かつて大阪城公園内に存在した博物館です。その建物は、旧陸軍第四師団司令部庁舎を再利用したもので、1960年に開館し、2001年にその役割を終えました。本稿では、博物館としての歴史だけでなく、建物自体の背景や、複合施設「MIRAIZA OSAKA-JO（ミライザ大阪城）」としての新たなスタートについても詳しく解説します。

旧陸軍第四師団司令部庁舎の歴史

1929年、昭和天皇の即位を記念する事業の一環として、大阪城公園の整備と大阪城天守閣の復興が計画されました。その際、城内に分散していた陸軍第四師団の司令部機能を一箇所に集約するため、大阪市が主体となり新たな庁舎を建設することになりました。設計は第4師団経理部が担当し、清水組が施工を手がけ、1929年4月に着工、1931年3月に竣工しました。完成した庁舎は国に寄贈されました。

この建設プロジェクトの資金は、大阪市民からの寄付金150万円で賄われ、そのうち80万円が庁舎建設に充てられました。外観は左右対称のロマネスク様式で、正面両側のタレットや壁上端の装飾が特徴的です。褐色色斑スクラッチタイルで仕上げられ、ノルマン地方の古城を彷彿とさせるデザインでした。

1940年には中部軍司令部がこの庁舎に入り、第4師団司令部は大坂城二の丸へ移転しました。1945年2月には中部軍が第15方面軍の編成により廃止され、新たに第15方面軍司令部と中部軍管区司令部が庁舎を使用しました。

太平洋戦争末期の大阪大空襲では奇跡的に被害を免れ、戦後はGHQに接収されましたが、1948年に接収が解除されました。その後は、大阪市警視庁本部、大阪府警察本部の庁舎として利用され、1958年に大阪府警が現在地に移転した後は、大阪市の管理下となりました。

大阪市立博物館としての歩み

大阪市は、大阪府警の移転後、この建物を郷土博物館・歴史博物館として活用することを決定し、1960年5月1日に教育委員会に博物館創設事務室を設置しました。開館日は同年12月1日と決定され、博物館への転換のための改修工事が行われました。しかし、建物が軍事施設として堅牢に作られていたため、改修には時間がかかり、まずは1階と地階部分を第1期として改修し、2階から3階部分は未改修のまま、1階部分のみを開館することとなりました。当初は所蔵品が少なく、資料の収集と調査期間も短かったため、他の博物館やコレクターからの借用による企画展示が中心でした。

1962年に一時休館し、2階から3階の改修工事を行った後、11月1日に全面開館しました。大阪の歴史に関する史料・資料を最終的には7万点も収集し、1963年には人文系博物館資料の分類表を初めて発表するなど、研究活動も活発に行われ、地域の歴史を扱う博物館として先駆的な存在となりました。

1982年には「大阪市立博物館パルの会」という友の会が発足し、会員が自主的に運営を行い、歴史見学会などを開催していました。

2001年3月31日、大阪歴史博物館の開館に伴い、大阪市立博物館は閉館しました。その後、建物は未使用の状態が続き、今後の利用は未定となっていました。

ミライザ大阪城としての再出発

2015年4月1日より、大阪城公園は「大阪城パークマネジメント株式会社」が管理することになり、2017年10月19日、旧大阪市立博物館の建物は複合施設「MIRAIZA OSAKA-JO（ミライザ大阪城）」として新たなスタートを切りました。

このネーミングには、「大阪の文化や娯楽が集まり、大阪の未来を担っていく場所になって欲しい」という願いが込められています。大阪城公園の魅力を高め、新たな賑わいを創出することを目指し、大阪城天守閣を訪れる市民や観光客を対象とした飲食、物販施設などが開業しました。

アクセス

大阪環状線大阪城公園駅から西へ徒歩約18分です。

かつて博物館として、そして現在は複合施設として、大阪の歴史と文化を伝えるこの建物は、これからも多くの人々に愛され続けるでしょう。

もう一度検索