大阪市立都島工業専門学校 (旧制)

大阪市立都島工業専門学校の歴史

大阪市立都島工業専門学校（略称：都島工専）は、1943年（昭和18年）に設立された旧制専門学校です。その前身である大阪市立都島高等工業学校（都島高工）と合わせて、本稿ではその歴史を詳細に見ていきます。都島高工、そして都島工専は、現在の大阪市立大学理工学部（工学部・理学部）へとつながる重要な役割を果たしました。

都島高工と都島工専の設立

都島高工は、1907年に設立された大阪市立工業学校を母体として設立されました。当初の大阪市立工業学校は、機械科と建築科を擁する4年制の学校でした。その後、電気科、土木科、応用化学科などが加わり、教育内容は充実していきました。校舎は当初北区にありましたが、1925年には都島区に移転、大阪市立都島工業学校と改称されました。

6年制の課程を持つ都島工業学校は、高等工業学校への昇格を目指していました。しかし、財政難などの問題から実現には至らず、1943年、中等学校令の公布により、4年制に短縮されることになります。これを機に、ついに高等工業学校としての設立が認められ、大阪市立都島高等工業学校が開校しました。

第二次世界大戦中の1945年には、大阪市立都島工業専門学校と改称されます。都島工専では、機械科、電気科、建築科、土木科が設置され、3年制の課程で教育が行われました。

戦後の発展と大学への統合

戦後、都島工専は大きな変化を迎えました。1947年には女子学生の入学が許可され、1949年には新制大阪市立大学理工学部の一部として統合されました。これは、都島工専が単独で大学に昇格するのではなく、総合大学の一員として発展していく道を選んだことを意味しています。

都島工専の学生寮「都風寮」は、その後も大阪市立大学に引き継がれ、多くの学生たちの生活を支えました。しかし、1970年代後半には、寮の改築を巡って学生と大学当局との間に摩擦が起こり、新たな寮「志全寮」が誕生することになります。

校舎の変遷

都島工専は、設立当初は母体校である都島工業学校と同居していました。しかし、空襲による被害を受け、校舎を転々と移転を繰り返しました。最終的には、現在の大阪市立大学杉本キャンパスへと統合されていきます。

著名な出身者

都島工専、そしてその前身である学校からは、多くの著名な人物が輩出されました。俳優の金田龍之介氏、台湾問題学者である伊原吉之助氏、政治家で元大阪府八尾市市長の西辻豊氏などが、その代表的な例です。

まとめ

大阪市立都島工業専門学校の歴史は、日本の高等教育、特に工業教育の変遷を反映したものです。戦時下の困難や戦後の混乱の中、教育機関としての役割を果たし続け、現在の大阪市立大学理工学部へと発展していきました。その過程において、多くの学生たちが学び、社会に貢献する人材として巣立っていったのです。この歴史を振り返ることは、日本の高等教育の歩みを知る上で重要な意味を持ちます。

もう一度検索