大阿蘇大賞典

大阿蘇大賞典：ファン投票で決まる、荒尾競馬場の熱き戦い

大阿蘇大賞典は、熊本県荒尾市にあった荒尾競馬場で開催されていた、サラブレッドによるダート2000mの重賞競走です。正式名称には「開設○周年記念ファン選抜大阿蘇大賞典」と、その年の荒尾競馬場の開設周年数が冠せられていました。

歴史と変遷

その歴史は古く、1978年、荒尾競馬場開設50周年を記念して「開設50周年記念サラブレッド大賞典」として初開催されました。当初は2150mのレースでしたが、翌年は開催されず、1981年から3月中～下旬に開催される定期競走となりました。その後、2002年に現在の「大阿蘇大賞典」と改名されましたが、開設周年記念の副題はその後も継続して使用されました。競走距離も、長らく2150mが定番でしたが、1985年から1989年は2600m、2005年からは2000mに短縮されました。また、負担重量についても、当初はハンデキャップでしたが、2005年の距離短縮以降は別定戦となりました。

ファン投票による出走馬選抜：競馬ファンの熱意が競走を彩る

大阿蘇大賞典最大の特徴は、その出走馬の選定方法です。荒尾競馬場に所属する競走馬の中から、事前に登録された約20頭を対象に、ファン投票が行われました。このファン投票で上位10頭を選出し、さらにスポーツ新聞記者などの推薦による2頭を合わせた計12頭が出走権を得ることができました。枠順確定前に回避馬が出た場合は、補欠馬3頭から繰り上がりました。登録には荒尾競馬で4戦以上の出走実績が条件でした。

投票方法は時代とともに変化しました。2009年には、従来の荒尾競馬場での投票に加え、インターネット投票も導入。荒尾競馬場の公式サイトを通じて、より多くのファンが投票に参加できるようになりました。このファン投票というユニークなシステムは、大阿蘇大賞典を、単なる競馬の競走という枠を超え、ファンと一体となったイベントへと昇華させていました。

大晦日恒例で2005年まで開催されていた有明大賞典（2001年まではアラブチャンピオン）も、大阿蘇大賞典とほぼ同様の方法で出走馬を選抜していました。

思い出深いレース：多くのドラマが生まれた舞台

大阿蘇大賞典は、多くの名馬や名勝負を生み出した歴史ある競走でした。ファン投票というシステムによって、実力馬だけでなく、ファンに愛された馬にも出走の機会が与えられ、予想外の展開やドラマチックなレース展開が数多く生まれました。競馬ファンにとって、大阿蘇大賞典は、単なる競走結果だけでなく、多くの思い出と共に語り継がれる存在だったと言えるでしょう。

荒尾競馬場の閉場と大阿蘇大賞典の終焉

残念ながら、荒尾競馬場は2010年3月をもって閉場しました。それに伴い、大阿蘇大賞典もその歴史に幕を閉じました。しかし、大阿蘇大賞典が荒尾競馬場、ひいては日本の競馬史に刻んだ功績は、多くのファンによって長く記憶に留められ続けることでしょう。ファン投票という斬新な出走馬選抜方法、そして数々の名勝負は、競馬史における一つの重要なエピソードとして語り継がれていくに違いありません。

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