大陸間弾道ミサイル

大陸間弾道ミサイル（ICBM）

大陸間弾道ミサイル、略してICBMとは、北アメリカ大陸とユーラシア大陸を含む超長距離の飛翔が可能な弾道ミサイルのことを指します。ICBMは、特に射程が5,500キロメートル以上とされ、その特性から戦略的な兵器として位置付けられています。アメリカ合衆国と旧ソビエト連邦間では、戦略兵器制限条約（SALT）によって公式な定義がなされていましたが、要はこのミサイルは国と国を隔てる大洋を越えて、直接攻撃を行うことができる高度な兵器です。

原理と方式

ICBMは、主に陸上基地や潜水艦から発射されます。発射時、ロケットエンジンを用いて加速し、数百キロメートルの高度まで上昇します。この間に、目標地点に向かう飛行コースを調整します。燃焼が終了した後は、弾頭が慣性で飛行を続けるため、基本的に無誘導となります。このため、大砲の弾と同様に、発射時の条件が主たる要素となります。

初期のICBMは無線による誘導が行われていましたが、1960年代にはアメリカのミニットマンが慣性誘導方式を取り入れ、より迅速な発射が可能となりました。ICBMは地球を周回するような楕円軌道を描き、高度は最高で1,000から1,500キロメートルに達します。多くの場合、8,000キロメートルから10,000キロメートルの射程を持ち、命中精度が高いため、核弾頭を搭載することが一般的です。

歴史

ICBMの歴史は、第二次世界大戦中のナチス・ドイツが実用化したV2ロケットに遡ります。この技術は戦後にアメリカとソ連に受け継がれ、ソビエト連邦のR-7が世界初のICBMとして1957年に完成しました。アメリカでは、アトラスと呼ばれるICBMが1959年から配備され、1962年にはタイタンが実戦配備に追加されました。

当初のICBMは大型の地上施設からの発射が一般的でしたが、後には地下のミサイルサイロや、潜水艦、さらには鉄道や大型車両に搭載されるなど、発射方式にも多様性が見られるようになりました。また、1980年代には、ICBMの技術競争が激化し、様々な国が独自のICBMを開発しました。

現在のICBM

現在、ICBMを配備している国家は主に、アメリカ、ロシア、中国、北朝鮮、インドの5カ国です。これらの国のICBMは、それぞれの国の防衛戦略や地政学的な立場に基づいて設計されています。特にアメリカは、固体燃料方式のICBMを進化させ、即時発射の能力を強化しています。一方、ロシアは液体燃料方式を改良したICBMを多く配備し、機動性で優れたものを保有しています。

このように、ICBMは今日でも国防において重要な役割を果たしており、その技術革新は続いています。

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