大隅国分寺跡

大隅国分寺跡について

大隅国分寺跡は、鹿児島県霧島市国分中央に位置する寺院跡です。この地は、奈良時代に聖武天皇の命によって日本各地に建立された国分寺の一つ、大隅国分僧寺の跡地にあたります。1921年（大正10年）には、その歴史的価値から国の史跡に指定されました。

歴史的背景

国分寺は、奈良時代に仏教の力によって国家を安定させる目的で全国に建立されました。大隅国分寺もその一つですが、創建時期については正確な記録が残っていません。しかし、発掘調査や出土した瓦の様相から、8世紀末頃に建立されたと推測されています。

『弘仁式』には、日向国の国分寺の稲のうち一部を大隅国が負担していたことが記されており、このことから、大隅国分寺の存在が確認できます。また、『延喜式』には、国分寺料として稲が規定されており、経済的な自立も示唆されています。現在残る六重層塔は1142年に建てられたもので、これは大隅国分寺の再興を願ってのものと考えられています。

中世以降、大隅国分寺は衰退したと考えられています。しかし、鎌倉時代には宇佐弥勒寺の末寺として鹿児島庄を寺領としていた記録があり、その存在が確認できます。近世には、上小川村国分麓において曹洞宗の国分寺が再興されましたが、元の寺域は墓地として利用されるようになりました。

近代以降の変遷

近代に入り、明治初年の廃仏毀釈によって国分寺は廃寺となりました。しかし、その歴史的価値が認められ、1921年（大正10年）に国の史跡に指定されました。その後、共同墓地の移転や公民館の設置などが行われましたが、発掘調査によって古代寺院の遺構が確認されています。

特に、1997年から2009年にかけて行われた発掘調査では、多くの遺物や瓦が出土しました。その結果、寺域の中心部や伽藍配置についての理解が深まりました。また、2004年には、宮田ヶ岡瓦窯跡が追加指定され、大隅国分寺の瓦を供給していた窯であったことが判明しました。

伽藍配置と遺構

大隅国分寺の寺域は、近世の城下町整備や廃仏毀釈、宅地開発などによって大きく破壊されています。しかし、現在の史跡地を中心に、正方位で広がっていたと考えられています。史跡地には六重層塔が残っており、この塔は1142年に再興祈願として建立されたとされています。また、仁王像も残っています。

発掘調査によって出土した瓦からは、創建当時のものも含まれていることがわかっています。特に、宮田ヶ岡瓦窯跡から出土した瓦は、大隅国分寺跡のものと同笵であることから、この窯が大隅国分寺の瓦を供給していたと考えられています。

文化財としての価値

大隅国分寺跡は、その歴史的価値から国の史跡として指定されています。また、宮田ヶ岡瓦窯跡も附帯して指定されており、古代寺院の姿を今に伝える貴重な文化財です。

現地情報

大隅国分寺跡は、鹿児島県霧島市国分中央1丁目に位置しています。最寄りの駅はJR九州日豊本線国分駅で、徒歩約12分でアクセスできます。また、霧島市立国分郷土館では、大隅国分寺跡の出土品が展示されています。

周辺には国分城（舞鶴城）があり、歴史散策を楽しむこともできます。

関連施設

• - 霧島市立国分郷土館：大隅国分寺跡の出土品等を保管・展示。

周辺

• - 国分城（舞鶴城）

大隅国分寺跡は、古代の歴史と文化を伝える貴重な場所です。ぜひ一度訪れて、その歴史に触れてみてください。

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