大面油田

大面油田：新潟県三条市にかつて存在した油田

大面油田は、新潟県南蒲原郡栄村（現在の三条市）北潟に位置し、1916年（大正5年）から1963年（昭和38年）にかけて石油の採掘が行われていた油田です。

歴史

大面油田があった北潟は、長岡市南方から三条市にかけて発達した東山丘陵の谷間に位置しています。文政年間（1818年～1829年）には、北潟村の島影新右衛門という人物が桑畑を開墾中に原油が染み出ているのを発見し、布に浸して持ち帰り灯火の芯にしたという記録が残っています。また、近隣の如法寺村（現在の三条市）で見られた「地中の火」「燃える風」という現象（いずれも天然ガスの自然発火）は、古くから「越後七不思議」の一つに数えられていました。

本格的な採掘は、1916年（大正5年）に日本石油によって開始されました。同年3月には、1日にドラム缶300本分の石油が噴出するほどの勢いでした。石油は山や小川だけでなく田畑にも降り注ぎ、地域住民が石油を汲んで石油会社に売りに走る姿が見られたといいます。石油収入により会社は潤いましたが、一方で田畑の作物への補償問題も発生しました。また、信越本線帯織駅から北潟まで専用線が引かれ、石油ブームに沸き返りました。

1930年（昭和5年）には最盛期を迎え、北潟の谷間には石油会社の社屋や鉱夫小屋、商店や旅館などが建ち並び、大いに繁盛しました。栄村吉野屋から本成寺村如法寺にかけても油井が建ち並び、信越本線の車窓からは燃え盛る炎が見えるほどでした。しかし、太平洋戦争後には石油の産出量が減少し、安価で質の良い外国産石油の輸入が増加したため、油田の経営は衰退し、1963年（昭和38年）に閉山しました。

現在の状況

現在、北潟から吉野屋にかけての山中には油井の跡が残っていますが、完全に埋め戻されていない場所もあり、転落の危険性があるため、立ち入りは推奨されません。これは大面油田に限らず、周辺の他の油田でも同様です。北潟地区の雑木林から流れる小川や排水溝には、原油が染み出している場所も見られます。

関連項目

三条市
栄村
越後七不思議
油田
油井
油田の一覧#日本
日本石油

外部リンク

新潟県大面油田（大日本帝国油田第十二区）地質及地形図説明書 農商務省地質調査所 1918年（大正7年）12月27日発行（国立国会図書館サーチ）
* 越後七不思議 - 「燃土（もゆるつち）」・「燃水（もゆるみず）」に関する記述あり。

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