大韓民国の少子化

大韓民国における少子化問題

大韓民国、通称韓国では、21世紀に入り急激な少子化が進行しています。1970年代には合計特殊出生率が4.0から6.0と世界最高水準を誇った韓国ですが、1983年以降にこの水準を下回り始め、現在では極めて厳しい出生率の状態に直面しています。

1983年には初めて人口置換水準の2.06を下回り、その後はずっと下落を続け、2005年には1.09という世界的に最低の水準に達しました。その後も出生率の低下は続き、2023年には0.72にまで落ち込みました。この状況に対し、オックスフォード大学の人口学者デービッド・コールマン教授は、韓国が少子化によって消滅する国になると予測したほどです。

合計特殊出生率の概要

合計特殊出生率は、1人の女性が生涯に産む子供の平均数を示す指標で、先進国では人口維持のために2.06から2.10が理想とされます。韓国は、経済の発展と並行してこの出生率が急落しており、特に文在寅政権の発足以降、少子化問題が社会の大きな課題として浮上しました。

2018年、韓国は世界で唯一1.0未満の出生率を記録し、この現象は自然なものであり、他国のような出産を控えさせる明確な理由がない状況は、国内外に大きな衝撃を与えました。この出生率の低下は、出生率が低い地域において特に顕著であり、ソウル特別市では0.59、釜山広域市では0.72といった数字が記録されています。

少子化がもたらす社会的影響

この少子化は、高齢化社会を加速させる結果となっており、2065年には高齢化率が47%に達すると推定されています。また、韓国においては総人口が初めて減少しはじめたことが、兵力の減少にも繋がり、国防面での懸念も叫ばれるようになっています。

原因と社会的背景

韓国の少子化の背景には、さまざまな要因があります。「ヘル朝鮮」と形容される社会状況は、若者の経済的負担や高い競争社会が影響しています。特に、若年層は経済的な安定を得ることが非常に困難であり、高齢者の割合が増加する中で、若い世代にかかる負担は大きくなる一方です。また首都圏への人口集中も問題を深刻化させています。格差が広がり、地方と都市部の間での経済活動の活発さにはきわめて大きな差があります。これにより、地方からの若者の流出が進み、それがさらに少子化を助長するという悪循環を生んでいます。

政府の取り組み

韓国政府は少子化問題に対処するために、様々な対策を講じていますが、2006年以降に投入された約21兆円の経済的支援や、出生手当の支給などの施策はあまり効果を上げていないとされています。2020年には、0歳から1歳の子供を持つ親に対しての手当を支給することが発表されましたが、根本的な解決には至っていないのが現状です。

結論

韓国の少子化問題は、経済、社会、文化など多岐に亘る影響を及ぼしており、解決には多くの課題が存在します。人口問題はその国の将来を大きく左右するだけに、今後の動向と施策に注目が集まっています。

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