大韓民国の消防

大韓民国の消防制度

大韓民国において、消防制度は非常に重要な役割を果たしています。この制度は、中央政府が消防庁を、地方自治体が消防本部を設置する形で構成されており、その下に消防署が存在します。特に山火事に対しては、山林庁がなるべく迅速に対応しています。

制度の歴史

消防制度のスタートは1946年から1948年にかけてのアメリカ軍政時代に遡ります。この期間、消防は従来の警察の一部から独立し、自治消防体制が初めて導入されました。この際、中央には消防委員会と消防庁が、地方には道消防委員会と地方消防庁が新たに設立されたのです。

その後、1948年に大韓民国が建国されたことで、自治消防体制は国家消防体制に移行しました。1958年に施行された消防法に基づき、内務部（現・行政自治部）内に消防課が設置され、消防職員は警察官としての身分が与えられました。

1970年代に入ると、消防制度に対する見直しが始まりました。1972年には消防が再び警察から分離され、独立した組織となりました。当時はソウルと釜山に置かれた消防は自治消防、それ以外の地方は国家消防として二本立ての体制を構築しました。1975年には民防衛本部内に消防局が設立され、1978年には消防公務員法が制定されました。

1991年に消防法が改正された結果、1992年4月から市・道レベルの広域自治消防が実施され、本部が設置される運びとなりました。この変更によって、ほとんどの消防職員が地方公務員としての地位を確立しました。

2003年には大邱地下鉄放火事件や台風14号による被害を受け、消防法が大きく見直されることになりました。それ以前の複雑な体制を整理し、消防基本法を含む4つの法律が新たに制定されました。2004年には消防局が格上げされ、消防防災庁が設置されるなど、組織が再編されました。

2014年4月に発生したセウォル号沈没事故を受け、消防防災庁は海洋警察庁と共に解体され、国民安全処傘下の中央消防本部に再編成されました。その後、政権交代があった2017年7月には、国民安全処が廃止され、消防庁が行政安全部の外庁として新たに設置されました。

消防制度の現況

現在、大韓民国の消防制度は行政安全部の外庁として消防庁が、新たに各広域自治団体に消防本部が配置され、消防署が設置される形で運営されています。消防本部の長や消防署の長は、それぞれを所管する市長や道知事の指揮を受けています。

消防本部と消防署

消防本部は、全国に広域自治団体として18の本部と昌原市に1箇所設置され、火災の予防、警戒、鎮圧、調査、救急活動など多岐にわたる職務を担っています。それぞれの消防本部には地方消防学校が併設されており、専門的な教育を通じて消防士を育成しています。また、一部の消防本部には消防航空隊が設立されています。

消防署は消防本部の下に設置され、地域の安全を支えるために不可欠な存在です。消防署には119安全センターが設けられ、救助隊や救急隊などが連携して日常的に活動しています。

消防公務員

消防業務を専門とする消防公務員は国家消防公務員と地方消防公務員の二種類が存在し、それぞれに異なる任用や教育体系が適用されます。消防公務員は、現場において迅速かつ効果的に対応できるよう日々研鑽を重ねていますが、近年では人員不足の問題も指摘されています。特に一部の安全センターや地域隊では、署員が少なく、実質的に一人で活動を行う状況も発生しています。

このように、大韓民国の消防制度は歴史的な背景を持ちつつ、現代の課題にも取り組んでいます。今後もその役割をより一層強化しながら、国民の安全を守るために邁進していくことが求められます。

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