大高野官衙遺跡

大高野官衙遺跡について

大高野官衙遺跡は、鳥取県東伯郡琴浦町槻下に位置し、奈良時代から平安時代にわたって存在していた官衙の遺跡です。2014年に、この場所は国の史跡に指定され、その重要性が認められました。

遺跡の概要

この遺跡は、7世紀の終わりから9世紀の後半まで存続した官衙の跡とされており、伯耆国八橋郡衙の正倉に該当する可能性があります。官衙とは、当時の行政機関を指し、その中心的な役割を果たしていました。また、350メートル西側には飛鳥時代後期に建てられた斎尾廃寺跡という寺院の跡も存在しています。

1981年に始まった発掘調査では、多くの遺構が見つかり、特に2003年の調査では地中レーダー探査も行われました。その結果、5棟の総柱掘立柱建物、11棟の総柱礎石建物、7棟の側柱掘立柱建物、3か所の掘立柱塀跡、そして5条の区画溝が発見されました。総柱建物は、外周だけでなく内部にも密に柱を立てる構造であり、高床倉庫として機能していたと考えられています。このように、整然とした建物群が形成されていたことと、出土した炭化した穀物から、本遺跡は八橋郡衙の正倉院であったと推測されています。

遺構の詳細

遺跡の主要部分は南北に105メートル、東西に130メートルの長方形の敷地で、北、東、南側には区画溝が見受けられ、西側は自然の谷によって境界が形成されています。さらに、東側と南側の外側には、別の溝が存在しており、これによって布告られた時期に敷地が拡張されたことが確認されています。

律令時代の「倉庫令」に従い、本遺跡の正倉は高地に設置され、周囲に溝を掘る様式が見られます。このことは、古代の倉庫設計の一端を示しています。

出土品は少ないものの、見つかった須恵器や土師器の年代から本遺跡の運用が7世紀末から9世紀後半まで続いたことが明らかになり、さらにそれを3つの時期に分けています。第1期は7世紀末から8世紀中頃で、掘立柱建物が主に使用されていました。第2期は8世紀から9世紀前半にかけて、礎石建物が増加し始めました。そして第3期は9世紀後半で、新たな区画溝の掘削が見られる時期です。

特にSB01と呼ばれる大型の総柱礎石建物は、遺跡の中央に位置し、その規模や構造から「法倉」と思われる重要な施設です。法倉は、災害時に備えて天皇の恩恵として穀物を保存する倉庫であったとされています。また、側柱掘立柱建物は「屋」と呼ばれる倉庫形式で、これらの建材の互換性が見られることが、建物群の発展を示しています。

古墳との関係

この区域には、古墳時代から残る小規模な大高古墳群も存在しますが、現在では一部の古墳のみが史跡として保護されています。残る古墳は南端の4号墳で、それ以外は影響を受けているのが現状です。

大高野官衙遺跡は、その歴史的背景と遺跡の構造により、日本の古代史を理解するための貴重な資料を提供しています。

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