伯耆国

伯耆国の概要

伯耆国は、過去に存在した日本の令制国の一つで、現在の鳥取県に位置しています。古代からの歴史を持ち、特にその文化や方言において、隣接する地域と多くの共通点があります。伯耆国は山陰道に属し、中国地方の最高峰である大山を境として東伯と西伯に分かれ、それぞれの地域で異なる文化が育まれました。

名称と表記

「伯耆」という名の由来は古代の文献にも記されています。藤原宮跡から出土した木簡には「波伯吉国」との記載があり、これは698年のものです。また、古事記に見られる「伯伎国」や、先代旧事本紀の「波伯国造」も、伯耆国を指すものと考えられています。

伝説によれば、伯耆国は手摩乳と足摩乳の神から、八岐大蛇に襲われた娘の稲田姫が山へ逃げ込み、その際に母親を呼んだ言葉から「母来ませ」すなわち「伯耆」と名付けられたということです。

領域と沿革

伯耆国の領域は、明治維新前において現在の鳥取県の一部、特に米子市や倉吉市を含んでいました。古墳時代以前から出雲文化圏の一部であり、弥生時代には鉄器の製造も盛んで、これらの生産物が大和政権の成長に大いに寄与したとされます。

最古の文献に記載されているのは『古事記』で、ここでは出雲と伯耆の境界にある比婆の山が登場します。その後、律令制度の下で7世紀に伯耆国の設置が決定されました。

近世以降の歴史

近世になり、伯耆国は明治維新を経て、いくつかの藩に分かれました。旧高旧領取調帳によれば、もともとは因幡鳥取藩の領地でありましたが、明治の廃藩置県によって、何度か所管が変更されました。米子藩や倉吉藩なども一時的に存在し、最終的には再び鳥取県の管轄となりました。

地域の重要施設

伯耆国の国府は久米郡にあり、現在の倉吉市国府に位置します。この地域での発掘調査では、多数の遺跡が見つかり、国衙の構造や行事の様子を知る手がかりとなっています。また、国分寺や延喜式内社もあり、地域の宗教や文化の中心として機能していました。

地域の郡と荘園

伯耆国には複数の郡が存在し、河村郡、久米郡、八橋郡、汗入郡、会見郡、日野郡などが挙げられます。荘園の一例には、東郷荘や宇多河荘があり、それぞれ地域の特性に応じた農業が行われていました。特に、米の生産が重要視されていました。

戦国時代の変遷

戦国時代には、伯耆国は贅沢な文化が栄えていた一方で、織豊大名の戦いの舞台ともなりました。尼子氏や毛利氏の領地争いは、この地域の歴史に大きな影響を与えました。

現在の取り組み

最近では、地元のNPOと行政が連携し、伯耆国のブランドを再生させるためのキャンペーンを実施しています。この「謎の伯耆」というプロジェクトによって、地域の魅力を内外に周知し、観光や文化の発信を図っています。

結論

伯耆国は、その独自の文化と歴史を有する地域であり、現在もその地域的アイデンティティや歴史的遺産が大切にされています。地元の取り組みにより、さらなる魅力の発信が期待されています。

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