大髙清美

大髙 清美

日本のオルガニスト、大髙 清美（おおたか きよみ）は、埼玉県出身。10月18日生まれ。そのキャリアは、多岐にわたる音楽活動と、オルガンという楽器の可能性を追求し続ける探求心に彩られている。個性的な作曲センスと、ジャズ、フュージョン、プログレッシブ・ロックなど、特定のジャンルに留まらない柔軟なオルガンプレイで知られ、国内外の様々なミュージシャンと共演を重ねている。ギタリストの矢堀孝一氏は夫にあたる。

音楽との出会いからプロフェッショナルへ

大髙の音楽への関心は幼少期に芽生えた。幼稚園の頃から教室のオルガンに親しみ、その熱心さを見抜いた保育師の勧めで、6歳から電子オルガンを習い始める。音楽への情熱と並行して、そろばんにも非凡な才能を示し、全日本珠算競技大会で複数部門での入賞を果たすなど、集中力と高い技術を幼い頃から培った。

中学時代に洋楽（ベイ・シティ・ローラーズ）に触れて音楽的な視野を広げ、高校からはエレクトーン演奏に深く打ち込むようになる。ヤマハ音楽院エレクトーン科に進学し、セキトオシゲオ、工藤雅子、佐々木昭雄といった指導者から専門的な教育を受けた。卒業後はヤマハ音楽教室の講師として後進の指導にあたったが、7年間の勤務を経てヤマハを退職。27歳でドラムを学ぶ傍らハモンドオルガンを手にし、独学でその奏法を習得するという、異色の経歴を辿る。

デビュー後の多彩な音楽活動

プロとしての活動は1998年に本格化する。ギタリスト矢堀孝一、ベーシスト岡田治郎、ドラマー木村万作らとのトリオによるアルバム『Third Hand』でデビューを果たし、続く『AMBITION』でも高い評価を得た。2001年には、デイヴ・ウェックル（Drums）とゲイリー・ウィリス（Bass）という世界的プレイヤーとの共演によるオルガントリオアルバム『Out of Sight』をリリース。2002年には村石雅行（Drums）とのデュオアルバム『Paragraph』でオルガンプログレという新たな方向性を示すなど、発表する作品ごとにその音楽性を進化させてきた。2004年のアルバム『Frames』（後藤次利プロデュース）では、オルガニストとしてだけでなく、幅広いミュージシャンとしての才能を発揮した。

バンド活動も積極的に行っており、菅沼孝三（Drums）とのユニット「assure」や、ISAO（Guitar）率いるインストゥルメンタル・プログレッシブ・メタルプロジェクト「Spark7」ではジャパンツアーにも参加し、ジャズやフュージョンの枠を超えた活動を展開している。

CASIOPEA 3rd および KIYO＊SEN

大髙のキャリアにおいて特筆すべきは、日本を代表するフュージョンバンド、CASIOPEAへの参加である。2012年、活動を再開したCASIOPEA 3rdにキーボーディストとして加入し、2024年12月15日の公演をもって脱退するまでの約12年間、バンドのサウンドを支えた。そのダイナミックな演奏は、新たなCASIOPEAの魅力を引き出す上で重要な役割を果たした。

また、2013年からはドラマー川口千里とのユニット「KIYO＊SEN」を結成し、パワフルかつテクニカルなパフォーマンスで人気を博している。

執筆、指導、イベント企画、メーカーワーク

大髙の活動は演奏だけに留まらない。音楽専門誌『キーボードマガジン』では、2004年から2008年にかけて「大高清美流おるがん道」という長期連載を担当し、オルガン奏法や音楽理論、機材についての知識を発信した。これは、その指導者としての経験や、音楽への深い洞察力が活かされた活動と言える。

さらに、ローランド社のコンボオルガンシリーズ（VK-8、VK-88、VK-8m、VR-760、VR-700、VR-09など）の内蔵デモソングの作成や、楽器フェアでのデモンストレーション、クリニックなども手掛け、楽器メーカーとの連携を通じてオルガンの魅力を広く伝える活動も行っている。2009年からは、女性オルガニストに焦点を当てたイベント「Organ Ladies Live〜華hana〜」を企画・主催し、オルガン界の活性化にも貢献している。

スタジオワークやアレンジ、音楽指導といった分野でもその才能を発揮しており、多岐にわたる活動を通じて日本の音楽シーンにおけるオルガン演奏の可能性を広げ続けている。

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