天の子守歌

天の子守歌

「天の子守歌」（てんのこもりうた）は、モンゴル出身の女性歌手、オユンナが1990年に発表したデビューシングルです。彼女のキャリアをスタートさせた楽曲として、またその感動的なメロディーと歌詞から、多くの人々に愛され続けています。

この楽曲の誕生には、国際的な舞台での受賞が深く関わっています。1989年8月に開催された「第7回世界子ども音楽祭」において、オユンナは自身が作詞・作曲を手がけた楽曲「母の子守歌」を披露し、見事グランプリを受賞しました。この受賞を機に、彼女は日本でのデビューを決定。受賞曲である「母の子守歌」に、新たに藤公之介氏が日本語の歌詞をつけたものが、「天の子守歌」としてシングル化されることになったのです。

シングルは1990年5月21日にポニーキャニオンからリリースされました。作曲はオユンナ自身、編曲は川崎康宏氏が担当しています。シングルには、「天の子守歌」の他に、カップリング曲として「天山」（てんざん）が収録されています。「天山」も作詞は藤公之介氏、作曲・編曲は川崎康宏氏による楽曲です。

「天の子守歌」は発売後、大きな反響を呼びました。その年の年末、オユンナは「第41回NHK紅白歌合戦」に出場し、このデビュー曲を歌唱。日本全国にその歌声と存在を知らしめる機会となりました。また、この楽曲は彼女の初期の主要なアルバムにも収録されています。

収録アルバム:

『オユンナ ОЮУНАА』（1990年11月21日発売）
『オユンナII黄砂』（1992年9月2日発売）

「天の子守歌」は、オリジナル発表後も様々な形で親しまれました。特に注目されるのは、日本の歌手によるカバーです。沖縄出身の歌手、夏川りみが、2003年10月22日に発売した自身のアルバム『ファムレウタ～子守唄～』の中でこの曲をカバーし、新たな解釈で歌い上げました。夏川りみによるカバーバージョンもまた大きな注目を集め、2005年に公開された映画『O_chi 空を飛んだオッチ』の主題歌として起用されました。これにより、世代を超えてこの美しい子守歌が伝えられることとなりました。

この楽曲は、国境や言葉の壁を越え、普遍的な「母への愛」や「故郷への思い」を歌い上げています。モンゴルの草原を思わせる壮大なメロディーと、藤公之介氏による情景豊かな日本語詞が見事に融合し、聴く者の心を揺さぶります。オユンナの透き通った歌声によって表現される温かさと切なさは、「子守歌」というタイトルが示すように、安らぎと同時に故郷を離れた寂寥感をも感じさせます。

国際的な音楽祭での受賞から始まり、日本の音楽シーンでの成功、そして他のアーティストによるカバーや映画主題歌への起用など、「天の子守歌」は多岐にわたる展開を見せました。モンゴルの文化と日本の感性が交差することで生まれたこの楽曲は、今もなお多くの人々の記憶に残り、聴き継がれる名曲としての地位を確立しています。オユンナの記念すべき第一歩となったこの歌は、彼女の音楽活動の原点であり、その後の活躍の礎となったと言えるでしょう。

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