天まであがれ!

天まであがれ!

『天まであがれ!』は、1982年4月10日から10月2日にかけて日本テレビ系列の「土曜グランド劇場」枠で放送された連続テレビドラマです。翌1983年7月30日から10月29日には、続編となる『天まであがれ!2』が放送されました。このシリーズは、同じタイトルを冠しながらも、それぞれが全く異なる設定と物語を展開する二部構成となっています。

『天まであがれ!』（パート1）

全25回で放送されたパート1は、石立鉄男演じる主人公、和田竜介の奮闘を描くホームドラマです。会社員生活に馴染めず、脱サラして故郷である東京・早稲田の弦巻町にスナック「漫漫亭」を開店した竜介。開店直前に兄夫婦を亡くした彼は、親族に引き取りを渋られた甥の順一（坂上忍）と姪のまり子（松本由香利）を自らの養子として引き取ることを決意します。独身だった竜介が突如として5児の父（情報源では「2人の子どもを預かることになった」とあり、5人になる経緯は不明瞭だが、「5人の子持ちになることを渋った」という記述から、元々他に3人子どもがいた、もしくは預かることで合計5人になるという可能性も示唆される。ここでは「2人の子どもを預かる」という中心的な設定に焦点を当てる）となり、不慣れな育児と店経営に悪戦苦闘しながらも、周囲の人々の助けを借りて奮闘する姿がコミカルかつ人情味豊かに描かれました。

漫漫亭には、弁護士を目指す司法浪人の吉村新吾（山口良一）、早稲田大学に8年通う島袋正太（中西良太）といった個性的な従業員が集まり、和田家を取り巻く人々として、竜介の従弟で元プロボクサーの医師・河西達也（柴田恭兵）、その母で竜介の叔母・河西トキ子（奈良岡朋子）、酒屋の主人で町内副会長の松沢武市（名古屋章）とその娘たち（松沢絹子：松原智恵子、松沢晴美：沖直美）、竜介の同級生で花屋の立花新太郎（前田吟）・加代子（中尾ミエ）夫妻など、様々なキャラクターが登場し、物語を彩りました。また、竜介の元婚約者であるルポライターの風上京子（池上季実子）や、タチバナで働くロックミュージシャン志望の村岡健二（嶋大輔）なども登場します。

このパート1の主題歌は、嶋大輔が歌う『男の勲章』で、大ヒットを記録し、ドラマと共に強い印象を残しました。オープニングアニメーションは芝山努が手掛けています。物語の後半には、和田家だけでなく、周囲の人々を主役にしたエピソードも展開されました。

『天まであがれ!2』（パート2）

全13回で放送されたパート2は、パート1とは世界観を一新したコメディタッチの刑事ドラマです。石立鉄男は、花咲署に勤務する熱血漢で人情派の警察官、原竜介を演じました。彼は裏で宝石泥棒「怪盗タイガー」として暗躍する探偵・掛布準（柴田恭兵）の逮捕に執念を燃やしています。そんな彼の前に、父・竜三郎（石立鉄男の二役）の愛人の子と名乗る不良少年・松本大輔（坂上忍）が現れ、義理の弟として同居することに。さらに、かつて竜介が保護したシングルマザー・江夏かすみ（坪田直子）の娘である真子（松本由香里）が、竜介を実の父だと思い込むなど、次々と騒動が巻き起こります。

主要キャストとして、怪盗タイガーこと掛布準の妹で難病を患う掛布真弓（三田寛子）、竜介が住むアパート「銭亀荘」の大家で質屋やキャバレーなどを経営する藤田とき（奈良岡朋子）とその夫・金造（名古屋章）、どら息子で銭亀荘の管理人を務める遊作（中西良太）、警官から喫茶店主に転身した田淵勘太郎（前田吟）と警部補の妻・初子（中尾ミエ）夫妻などが登場します。パート2では、登場人物の多くに、当時のプロ野球のスター選手や監督の名前がモデルとして使用されているというユニークな特徴があります（例: 原辰徳、掛布雅之、真弓明信、田淵幸一、江夏豊、広岡達朗など）。

パート2の主題歌はJan Ken Powが歌う『スペース小町』です。オープニングアニメーションはパート1に引き続き芝山努が担当しました。劇中音楽の一部は、同時期の他ドラマで流用されたものが使用されています。

シリーズ全体として

『天まであがれ!』シリーズは、パート1とパート2で設定は大きく異なりますが、石立鉄男、坂上忍、奈良岡朋子、名古屋章、中西良太、山口良一、後藤喜久枝など、一部の主要キャストが共通して出演しています。また、脚本の布勢博一やプロデューサーの山本剛正（ユニオン映画）など、共通するスタッフも多く、シリーズとしてのつながりを持っています。パート1のコミカルな人情劇と、パート2のドタバタ刑事コメディという対照的な作風は、見る者に強い印象を残しました。

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