天下御免

天下御免（てんかごめん）

『天下御免』は、1971年10月8日から1972年9月29日まで、NHK総合テレビで放映された日本のテレビ時代劇です。毎週金曜日の午後8時に放送され、平賀源内を主人公にしたこの作品は、江戸時代のさまざまな問題を痛快に解決する様子を描いています。また、1990年にはその後日談として『びいどろで候〜長崎屋夢日記』も放送されました。

作品の制作と内容

このドラマは、制作を小川淳一が担当し、脚本は早坂暁が手掛けています。演出には岡崎栄や山本誠が関わり、音楽は山本直純が作曲しました。タイトルバックのイラストは黒鉄ヒロシによるもので、ナレーションは水前寺清子が担当。最終回には彼女の弟、水前寺清太夫も出演し、特別感を演出しました。1989年には、早坂による舞台版も松竹で上演されています。

物語は享保年間、田沼意次の時代を背景に、天才とされる平賀源内が様々な困難に立ち向かいながら、江戸時代の社会問題、特にごみや鉛公害問題、さらに受験戦争などを風刺的に描写しています。視聴率は平均30パーセントを記録し、全46話の中で国民的な人気を誇った作品となりました。

驚くべきことに、時代劇でありながら、現代のシーンも頻繁に挿入されました。たとえば、第6話では江戸に戻った源内が現代の銀座の人混みの中を当時の衣装で歩き、時代と現代の融合を楽しむシーンがありました。このような演出について、主演の山口崇は後に「まるでカツラを被った現代劇のようだった」と振り返っています。音響効果にも独自の試みがあり、たとえば主人公の二日酔いの描写にはユニークな音が使われ、視聴者を楽しませました。

時代考証と映像アーカイブ

この作品における時代考証は、早坂と稲垣史生によってしっかりと行われており、時代を正確に反映したシナリオが作られたことが強調されています。しかし、当時VTRが高価であったため、放送された映像はほとんど現存していません。しかし、主演の山口崇が私的に録画していた第1回が今も残っており、NHKアーカイブスで公開されています。ただし、その復元の際は画質が不安定で、最終回は10分間が欠落している状態です。

また、早坂から提供された音声のみのカセットテープもNHKに保管されていますが、これも未だ公開には至っていません。こうして、映像は消失してしまいましたが、音声資料は現存し、当時の雰囲気を伺う貴重な資料となっています。

音楽とコミカライズ

『天下御免』の主題歌や挿入歌では、エンディングテーマに「船出の歌」が使用されています。この歌詞の中にあった「とんなんしゃーぺい」という表現は、麻雀用語で方角を指す言葉であり、放送では一部が編集カットされています。さらに、1990年代にはほんまりうによるコミカライズも行われ、全2巻が刊行されています。

このように、『天下御免』はただの時代劇ではなく、時代背景の中で現代とリンクする要素を持ちながらも、深い洞察と風刺が込められた秀作です。

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