天久保用水

天久保用水の詳細

天久保用水は、埼玉県さいたま市緑区を流れる用水路です。この用水路は、綾瀬川流域の農業を支える重要な灌漑用水として、江戸時代に開削されました。

歴史と変遷

天久保用水は、見沼代用水東縁から取水し、埼玉スタジアム2002の南側、浦和美園駅の西側を南下します。その後、埼玉高速鉄道沿いを流れ、国道463号に差し掛かると東に折れ、道路の下を暗渠で通り、綾瀬川および伝右川へと注ぎます。

見沼代用水が整備される以前の見沼溜井時代に、天久保用水は既に存在していました。当時は、膝子村付近で溜まった水を引いていました。全長は約5.2km（2862間）でしたが、近年の都市開発に伴い、流路延長は1.6kmにまで短縮されています。

特に浦和美園地区では、区画整理事業「みそのウイングシティ」が進められ、水田が宅地化しています。その結果、用水路としての役割を終え、一部は埋め立て（ボックスカルバート化）が進んでいます。浦和美園駅西口広場周辺は暗渠化されています。

現在の状況

東北自動車道より上流では、大宮台地の縁に沿って流れており、フェンスや護岸で整備されているものの、斜面は開削当時の姿を残しています。しかし、雑草が生い茂り、夜間は暗く、注意が必要です。

取水地点の地名である「天久保」が、用水路の名前の由来となっています。かつては、寺山地区内で東に分かれ、伝右川を掛け樋で越え、綾瀬川を伏せ越しでくぐり、岩槻地区も灌漑していました。当時の灌漑面積は220ヘクタールでした。

支流と周辺施設

天久保用水には、支流として八幡下排水路があります。周辺には、さぎ山記念公園があり、取水点に隣接しています。また、埼玉県立浦和東高等学校、浦和学院高等学校、みそのウィングシティ、イオンモール浦和美園などの施設があります。

まとめ

天久保用水は、江戸時代から地域の農業を支えてきた重要な用水路です。都市開発によりその姿は変わりつつありますが、歴史を今に伝える貴重な存在です。訪れる際には、往時の姿を想像しながら、ゆっくりと散策してみてはいかがでしょうか。

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