天之尾羽張

天之尾羽張（あめのおはばり）

天之尾羽張は、日本神話に登場する重要な剣であり、神名でもあります。この神剣は、イザナギがカグツチを斬る際に使用したことで知られています。カグツチは、イザナミの死因となった神であり、その斬首は神話の中での重要な出来事の一つです。

概要

天之尾羽張は、イザナギが持っていた神剣であり、別名として伊都之尾羽張とも呼ばれています。『古事記』においては、天之尾羽張神という神名で記載されており、『日本書紀』では稜威雄走神と同一視されることが多いです。

また、天之尾羽張神は葦原中国の平定においても重要な役割を果たしており、建御雷神との関係が示される中で、彼らの系譜は非常に興味深いものです。

古事記・日本書紀における記述

神産み

『古事記』では、伊邪那岐命（イザナギ）が妻である伊邪那美（イザナミ）の死をもたらしたカグツチを斬る際に、この天之尾羽張の神剣が重要な役割を果たすシーンが描かれています。剣の名前は天尾羽張とされ、別名として伊都之尾羽張も記されています。一方、『日本書紀』にはただ「十握剣」とのみ記載され、神名は与えられていません。

カグツチの血からは火や雷、刀に関わる八神が生まれ、その中には建御雷之男神も存在します。

葦原中国平定

『古事記』に登場する葦原中国平定の話では、天之尾羽張神が重要な役割を果たします。天穂日命や天稚彦に続く神として、伊都之尾羽張神、あるいはその子供である建御雷之男神が推薦され、この神が葦原中国に派遣されることになります。天安河の水をせき止めていた神である天之尾羽張神は、「私よりも私の子、建御雷之男神を派遣すべきだ」と申し出たことが、その神の特異性を表しています。

解説

天之尾羽張はその名の通り、剣の神霊であり強烈な威力を有しています。「尾羽張」という名前は、刀の先端が広がっている様子を示しており、「雄走」はその刃の鋭利さを象徴しています。この神剣は高天原に関連する存在であり、神話の中で神々と深く結びついています。

また、天之尾羽張は、剣としての役割だけでなく、国を守護する神々たちとのつながりも示唆しています。特に鹿島神宮に祀られているタケミカヅチと深い関係があり、彼を通して日本中の神社で祀られています。彼らの存在は、古代日本における武力や神聖さの象徴であり、多くの神話に織り交ぜられているのです。

このように、天之尾羽張は単なる剣を超え、神々の力や歴史を体現する重要な存在として、日本神話の中で不動の地位を確立しています。

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