天和 (麻雀)

天和（テンホー、テンホウ）

天和とは、麻雀における役の一つで、役満です。親の配牌時、つまりゲーム開始時に配られた14枚の牌で既に和了の形が完成している状態を指します。英語では「Heavenly Hand」や「Blessing of Heaven」と訳され、その名の通り、天からの恵みとも言える役です。

概要

天和は、親にのみ許される役であり、その成立は親の配牌時に限定されます。和了の形は、一般的な四面子一雀頭の形はもちろん、七対子や国士無双の形でも成立します。他の手役を必要とせず、配牌のみで和了が完成するという特殊な性質から、麻雀の役の中でも特に希少価値が高いとされています。

成立確率

麻雀牌136枚から無作為に14枚選んだ際に和了の形になる確率は、約33万分の1と言われています。これは、親の配牌33万回に1回程度しか出現しない計算となり、その希少性が伺えます。例えば、毎日半荘を5回ずつ打ったとしても、約61年に一度しか和了できない計算になります。

天和は、九蓮宝燈や四槓子と並ぶ、極めて出現頻度の低い役の一つです。他の役の発生率は、打牌の選択や場の状況に左右されるため、正確な算出は困難ですが、天和は数学的に発生率を算出できる、数少ない役の一つです。

ルール上の扱い

競技麻雀の団体である101競技連盟では、現行ルールで天和を役として採用していません。

厳密には、親の最初のツモ牌を天牌と呼び、その天牌でツモ和了する事が天和の条件です。また、かつては親の第一捨牌を地牌と呼び、その地牌でロン和了する役を地和と呼んでいました。天和の性質上、成立時には放銃者がいないため、和了牌を特定する必要がないルールであっても、点数の支払い上はツモ和了として扱われます。必然的に親の役満となるため、点数は48000点の16000点オールとなります。

また、親が第1打以前に暗槓を1回以上行い、嶺上開花でツモ和了した場合、河に捨て牌がない状態で和了が宣言されます。しかし、この場合の和了牌は嶺上牌であり、天牌ではないため、天和とは認められません。

歴史的記録と現代での出現

大正時代には、公式大会の優勝者が2回戦で天和大三元を和了したという記録があります。これは、日本の公式戦で役満役が複数含まれる形で和了した唯一の例です。また、競技麻雀の放送対局では、2015年にRMU所属の月島ひかるプロが天和を和了しています。

さらに、バーチャルYouTuberの配信対局でも、2025年に四麻でななしいんく所属の柚原いづみさんが、2023年に三麻でNeo-Porte所属の白雪レイドさんが天和を和了しています。

天和にまつわる逸話

天和という名には、「天の神様から授かった和了」という意味が込められています。しかし、その一方で、この役で和了すると不吉なことが起こると信じている人もいます。そのため、天和を和了した後に、お祓いを受ける人もいるそうです（九蓮宝燈を参照）。

このように、天和は麻雀の歴史と文化の中で特別な位置を占める役であり、その希少性とドラマチックな性質から、多くの麻雀ファンを魅了し続けています。

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