天国の日々

映画概要

『天国の日々』（原題：Days of Heaven）は、1978年に公開されたアメリカの映画で、監督はテレンス・マリック。物語は20世紀初頭のテキサスの農場を舞台に、労働者たちの生活と人間関係の複雑さを描写しています。特に、撮影監督ネストール・アルメンドロスの手掛けた美しい映像が高く評価されています。

あらすじ

物語は第一次世界大戦の影響が色濃く残る時代に設定されており、リンダ（リンダ・マンズ）、彼女の兄ビル（リチャード・ギア）、そしてその恋人アビー（ブルック・アダムス）が主な登場人物です。彼らはテキサスの農場で麦刈りの労働者として雇われますが、ビルはアビーとの関係を隠すために兄妹であると偽って生活します。

農場の仕事は過酷で、アビーは酷使によって腕を痛めてしまいます。その際、ビルは農場の医者のもとから薬を盗む場面があり、その際に農場主のチャック（サム・シェパード）が余命1年と宣告されていることを耳にします。チャックはアビーに対し、強い関心を抱いており、麦刈りが終わった後もアビーに農場に残るよう頼みます。ビルにとってこれは財産を手に入れる絶チャンスと考えます。

チャックはアビーに求婚しますが、ビルは「長くは生きられないから」と説得し、結婚式が行われます。ビルとアビーは農場主の財産に寄り添う暮らしを始めますが、やがてチャックは二人の関係に不信感を抱きます。巡業中の芸人たちがやってくる夜、ビルとアビーのキスを目撃したチャックの疑念は確信に変わり、ビルに真実を問い詰めます。

刈入れの秋にビルがバイクで戻ってくると、突然のイナゴの襲来が農作物に甚大な被害を及ぼします。この後、火事が発生し、チャックはビルを殺そうと銃を手にしますが、逆にビルに刺されて命を落としてしまいます。ビル、アビー、リンダの三人は逃げることになりますが、追手に見つかり、最終的にビルは射殺されてしまいます。アビーはリンダを孤児院に入れますが、リンダは脱走し、再び友人たちと共に新たな道を歩み始めます。

映像美と撮影手法

本作は、ネストール・アルメンドロスの撮影技術によって特別な映像美が生み出されています。彼は自然光だけを用いる手法を選び、映画全体を通して「マジック・アワー」と呼ばれる時間帯に撮影されたシーンが多く見受けられます。この時間帯は、日が沈んでから完全に夜になるまでの柔らかい光の効果により、風景や登場人物を劇的に美しく見せることができます。

また、撮影はカナダのアルバータ州で行われ、経済的な理由からテキサスではなく、地域の住民がエキストラとして参加しました。映画の中で使用されるイナゴのシーンでは、カナダの農業省に集められた大量の本物のイナゴが用いられています。

受賞歴

この作品は、1978年にアカデミー撮影賞を受賞し、カンヌ国際映画祭では監督賞を受賞しています。さらに、全米映画批評家協会やニューヨーク映画批評家協会などでも高い評価を受け、受賞を果たしました。

まとめ

『天国の日々』は、美しい映像描写と強い人間ドラマによって、多くの賞を受賞し、映画史においても重要な位置を占める作品です。特にアルメンドロスの独自の撮影アプローチは、見る者に強い印象を与えています。この映画が持つ深いテーマ性とビジュアルの美しさは、現代においても多くの人々に評価され続けているのです。

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