天地正教

天地正教について

天地正教（てんちせいきょう）は、北海道帯広市に本部を構える宗教法人です。文化庁による分類では諸教として位置づけられています。1970年代に活動を開始したこの団体は、創設者である川瀬カヨが「世界基督教統一神霊協会」、通称統一教会の信者であり、以前に自ら主宰していた「天運教」の教えを受け継いでいます。この天運教は、霊能を活かして占いや病気治療を行う祈祷師の団体として機能していました。

1988年に「天地正教」と改名して以降、特に弥勒信仰が中心となり、弥勒がこの世に下生する存在として統一教会の教祖である文鮮明と関連づけて教えられました。宗教学者によると、信者の多くは主婦層であり、天地正教は統一教会に信者を誘導する役割を持っているとされています。また、天地正教では、霊感商法で仕入れた壺や多宝塔を「霊石」として扱うことが特徴です。

天地正教の沿革

天地正教の起源は1956年に遡ります。川瀬カヨが「汝、天運教の教主たれ」という啓示を受けたことをもって教団の始まりとされています。しかし、当初は周囲から理解されず、精神科病院に緊急入院を余儀なくされました。退院後、彼女は教団の修行法である「百日日参」を行い、徐々に信者を集めることに成功しました。

1957年には「おさしず」と称する新たな啓示を受け、宗教法人としての体裁を固めるため1963年には信者会「冨士会」を設立し、八大龍神や馬頭観音を本尊にして先祖供養を基本とした教えを展開しました。1973年には統一教会との関係が進行し、信者の一人から「幸福の壺」が伝えられるなど、教義に大きな影響を与えました。

1982年、川瀬カヨは統一教会が主催する合同結婚式に参加し、教団内での位置づけがさらに強化されました。1988年に法人名を正式に「天地正教」に変更し、弥勒慈尊（弥勒菩薩）を本尊として掲げました。

統一教会との関係

天地正教の運営が進む中、1990年代には統一教会との関係が深まりました。特に1994年に川瀬カヨが亡くなると、彼女の三女である新谷静江が教主としての地位を引き継ぎましたが、統一教会の影響力が強まり、内部での対立が顕在化します。彼女は統一教会の運営に従えず、敬意を表すために文鮮明夫妻の写真を拝む儀式をわずかに実施しました。その後も教団内の運営を巡る対立が続き、1998年には新谷が教主の地位を失い、結果的に統一教会の完全支配に至りました。

最終的に、1999年には法人形式を維持しながらも統一教会との間で事実上の統合がなされました。多くの信者が教団の存続問題に疑問を持ち、信者数は激減していきました。

問題と反対運動

天地正教と統一教会との関係の透明性が問題視され、地元の町議からも反対運動が起きました。裁判での主張の中には、統一教会との密接な関係への懸念が表明され、霊石愛好会との関連性が指摘されています。これに対して統一教会側は独立した教団であると主張しており、その関係は現在も議論の的となっています。

天地正教の歴史は、信者の信仰の場であり、同時に大きな宗教的・社会的問題が絡む複雑なものです。信者たちが今後どのようにこの教えと向き合っていくのかについて、注視する必要があります。

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