川瀬カヨ

川瀬カヨの生涯と宗教活動

川瀬カヨ（1910年6月15日 - 1994年2月4日）は、北海道十勝の士幌町に生まれた宗教家である。彼女は「天運教」という宗教団体を設立し、その後「統一教会」の教えを取り入れて「天地正教」という新しい教団を創設した。彼女の宗教的な活動は、昭和時代に多くの変遷を経て展開され、その影響力は広がりを見せた。

教祖と呼ばれるまでの道のり

川瀬は、45歳のときに天からの啓示を受け、「天運教の教祖となれ」という命を受けたが、精神的な健康が損なわれ、一時的に精神科病院に入院していた。しかし、退院後の彼女は、八大龍神や馬頭観音菩薩、弘法大師を本尊とする「天運教」を帯広市に設立し、心の主の道を歩み始めた。

その後、川瀬は「霊感商法」に触れ、特に「壷」を購入したことをきっかけに、統一教会に接触するようになる。1982年10月には、韓国ソウルで行われた統一教会の合同結婚式に参加し、文鮮明夫妻から祝福を受けたことも彼女の人生において重要な出来事となった。

名称変更と教えの深化

1988年、川瀬は「天運教」を「天地正教」に改名。宗教法人としての認可を得たばかりだったが、彼女は新たな教えと抱負を持ち、壷や多宝塔を霊石として称え、信者たちには新たな本尊として弥勒菩薩を受け入れるよう指導した。信者には、弥勒の化身が文鮮明夫妻であると教え、教義の深化を図った。

彼女の教団は、特に「霊感商法」に対抗する形で、「霊石愛好会」を取り入れ、信者を増やしていった。しかし、川瀬が亡くなった後、彼女の娘である新谷静江が2代目教主を継いだが、教団内の内紛や地域からの反発により教主の地位を追われる事態に発展した。

統一教会との関係

川瀬は、1964年から統一教会の信者との関わりを持ち、相次ぐ講演会に参加していった。文鮮明の教えに深く触れ、しばしば彼の行事にも参加。また、1987年には「天運教」が宗教法人の認可を取得し、1988年には統一教会の信仰をより取り入れる形で天地正教を確立。教団はその後、統一教会との関係を強化し、実質的に吸収される形で消滅した。

最期と影響

川瀬は1994年に病に倒れ、84歳の生涯を閉じた。彼女の死後も天地正教は新谷静江によって運営され続けたが、教団の活動は次第に衰退していった。最終的に1999年には統一教会と和合宣言を発表し、天地正教としての歴史は幕を閉じることとなった。彼女の宗教活動は、戦後日本における新興宗教の一端を担い、さまざまな宗教的影響をもたらした。

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