天正壬午の乱

天正壬午の乱（1582年）

天正壬午の乱は、1582年（天正10年）に発生した日本の歴史的な戦乱で、織田信長の死によって引き起こされた混乱の一環です。この乱は、主に武田氏の旧領である甲斐、信濃、上野西部を含む地域において、複数の勢力が織田氏の遺領を巡って激しく争ったことに起因しています。

背景

1582年、織田信長による武田征伐が成功し、武田氏は滅亡しました。しかし、その直後に信長自身が本能寺の変で assassinatedされ、多くの混乱を招くことになりました。その結果、織田氏の支配が確立されていない旧武田領では、権力の空白状態が発生しました。これにより、当時の周辺勢力、特に後北条氏（北条氏政・北条氏直）や徳川家康、上杉景勝などがこの地域で主権を巡って争い始めました。

主な戦い

甲州征伐

甲州征伐及びその後の混乱については、歴史書などで「天正壬午の乱」として記述されています。特に1971年や1996年に発行された地域誌でも、甲州の抗争を指してこの用語が用いられています。

本能寺の変

1582年6月の本能寺の変の後、徳川家康は畿内から脱出し、密かに武田氏の遺臣を召集し始めました。この動きは、家康が甲斐の武士たちを自らの勢力下に置こうとしたことを示しています。特に家康は、前述の武田遺臣や国衆と連携し、信濃や甲斐の支配権を強化しました。

若御子対陣と北条氏との抗争

天正10年6月には、北条氏が甲斐に進攻し、急速に勢力を拡大しました。一方、徳川家康も甲斐での影響力を確保するために、淳和源氏の一族として知られる家臣たちや地域の土豪と協力関係を築いていきました。

8月には小規模な合戦が行われ、家康の軍が北条氏の軍勢に打撃を与えることに成功しましたが、戦争の様相は依然として流動的でした。

和睦の成立

最終的に、10月には和睦が成立しました。これにより、北条氏と徳川家康との間で、領地の配分や相互不干渉が決定され、混乱の収束への道筋が示されました。これに伴い、徳川方と在地勢力とのさらなる抗争が続く一方で、旧武田領の安定が図られていくことになります。

影響とその後

天正壬午の乱は、織田氏の遺領を巡る戦いの一環であり、その後の日本の戦国時代において、権力構造が変化する大きな出来事となりました。豊臣秀吉による後北条氏の滅亡や、関ヶ原の戦いを経て、最終的には徳川家康が時代を制することとなります。この過程で、乱の影響を受けた地域の統治体制は大きく変わり、武田氏の後継者たちの運命を大きく左右することとなりました。これにより、江戸時代の幕開けが迎えられることになります。

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