天水囲

天水囲（ティン・スイ・ワイ）は、香港新界の元朗区西部に位置する新興住宅街です。元々は城壁村が点在する地域でしたが、1970年代以降、大規模な開発によって現在の姿となりました。

地理

天水囲は、香港の北西部に位置し、古くから城壁村が点在していた元朗区に属しています。北には后海湾が広がり、約10kmの距離で中国深圳市と向かい合っています。この地域は、もともと湿地だった平地を開発してニュータウンとしたため、全体的に平坦で起伏がほとんどありません。現在でも、香港湿地公園や米埔湿地などの湿地が残されており、自然環境も豊かです。

概要

天水囲という地名が示すように、かつては城壁村でしたが、香港の中心部から離れていたため、小さな集落に過ぎませんでした。しかし、1970年代に香港の大手デベロッパーである長江実業が周辺の土地を取得し、開発計画が始まりました。その後、香港政府が住宅用地として天水囲の土地を購入し、政府主導の開発計画が進められ、1990年代には多くの高層住宅が建設されました。1999年には、長江実業が建設したハーバープラザリゾートシティホテルが開業し、近代的なニュータウンとしての姿を確立しました。

天水囲市内には、LR（軽鉄）と呼ばれる軽便鉄道が網羅的に走っており、循環線を形成しています。この軽便鉄道は、住民の足として重要な役割を果たしています。さらに、2003年には九広西鉄が開通し、天水囲駅が設置されました。これにより、天水囲から香港の中心部へのアクセスが劇的に改善されました。また、中国深圳湾口岸へはバスで一駅という近さです。

香港市内へのバスも多数運行されていますが、度重なる値上げが議論されており、住民にとって頭痛の種となっています。なお、ハーバープラザリゾートシティの正面に位置する軽便鉄道の停留所は「銀座（Ginza）」と名付けられており、日本風の停留所名が特徴的です。さらに、近くには「日比谷」「有楽町」と銘打たれた建物も存在し、この地域における日本とのつながりをうかがわせます。

天水囲は、湿地を開発して作られた新しい街でありながら、湿地公園や軽便鉄道の存在が特徴的な地域です。香港の中心部からのアクセスも良好になり、より住みやすい街へと発展を続けています。

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