天津小湊町

天津小湊町（あまつこみなとまち）：房総の自然と歴史が息づく地

天津小湊町は、かつて千葉県安房郡に存在した町です。2005年2月11日、隣接する鴨川市との合併により、新たな鴨川市の一部となり、その名が消滅しました。

地理

天津小湊町は、房総半島の南部に位置し、温暖な気候が特徴でした。太平洋に面し、北部には山々が連なる自然豊かな地形です。海岸線は変化に富み、美しい景観を作り出していました。漁業が盛んであり、豊富な魚種が水揚げされていました。一方、地形的な制約から、農業は小規模にとどまっていました。町の中心部を横断する天津バイパスは、市街地の交通渋滞緩和に貢献していました。

歴史

天津小湊町の歴史は、漁業と深く結びついていました。古くから漁港として栄え、地域の経済を支えてきました。

1929年（昭和4年）：房総線（現在の外房線）上総興津 - 安房鴨川間が開業し、地域へのアクセスが向上しました。
1953年（昭和28年）：国道128号が制定され、広域的な交通ネットワークが整備されました。
1955年（昭和30年）：天津町と小湊町が合併し、天津小湊町が誕生しました。
1992年（平成4年）：防災行政無線が開局し、地域住民への情報伝達体制が強化されました。
2005年（平成17年）：鴨川市と合併し、天津小湊町は廃止されました。

産業

漁業が主要な産業であり、小湊漁港、天津漁港、浜荻漁港を中心に、様々な魚介類が水揚げされていました。特に、アジ、サバ、イワシなどが豊富で、新鮮な海の幸は地域住民の食卓を彩っていました。

交通

鉄道は、JR外房線が町内を通り、安房小湊駅と安房天津駅が設置されていました。これらの駅は、地域住民の通勤・通学の足として、また観光客のアクセス拠点として重要な役割を果たしていました。

道路は、国道128号が主要な幹線道路であり、房総半島を南北に結んでいました。また、千葉県道81号市原天津小湊線、千葉県道82号天津小湊夷隅線などの県道が、地域内の交通を支えていました。

教育

町内には、天津小学校、小湊小学校、天津中学校、小湊中学校がありました。2019年には天津小学校と小湊小学校が統合され鴨川市立天津小湊小学校が、2006年には天津中学校と小湊中学校が統合され鴨川市立安房東中学校となりました。また、千葉大学海洋バイオシステム研究センター（臨海実験所）が設置され、海洋生物学の研究拠点となっていました。

観光

天津小湊町は、豊かな自然と歴史的な観光資源に恵まれていました。

小湊地区は、釣りのメッカとして知られ、多くの釣り客が訪れていました。また、大型宿泊施設も集中していました。
ロシア人日本初上陸の地としても知られています。
鯛の浦は、世界で唯一、真鯛が浅瀬に生息する場所として、特別天然記念物に指定されています。
清澄寺妙見山には、日本最古のスギの人工林が広がっています。
誕生寺は、日蓮聖人の生誕地であり、世界最大の鬼瓦が設置されています。
* こみなと水族館は、地元の海洋生物を中心に展示し、家族連れに人気を集めていました。

天津小湊町は、鴨川市との合併によりその名は消えましたが、豊かな自然と歴史、そして地域の人々の記憶の中に、その面影を残しています。

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