天津条約 (1885年4月)

天津条約の概要

天津条約（てんしんじょうやく、英語：Convention of Tientsin）は、1884年12月に日清両国の間で締結された重要な条約である。この条約の締結に至った背景には、同年に発生した甲申政変が影響しており、日本と清国はこの事件によって生じた緊張を緩和する必要があった。

交渉の経緯

1884年12月4日に朝鮮で甲申政変が起こると、日本はすぐに朝鮮政府との間で政変に関する漢城条約を結んだ。しかし、この政変によって日清間の関係はひどく緊張した。日本国内では、クーデタに対する清国の攻撃が報じられ、日本国民の間には対清戦争を支持する声が強まった。特に、自由党の機関紙や他の新聞では清国の行動が非難された。

日本陸軍や地域の義勇団は、清国の行動に反発し、武力行使への期待が高まっていた。このような状況の中で、撤兵問題や日本人商民の殺傷事件の責任追及など、緊急の対応が求められた。そこで、当時の政治家・伊藤博文が特命全権大使として北京に派遣され、交渉が始まる。

交渉の過程

1885年3月21日、伊藤博文は大きな使節団を率いて北京に到着した。清国側は全権を李鴻章に委任し、交渉が天津で行われることになった。交渉の初期段階では、双方の立場が食い違っており、特に撤兵の具体的な範囲やその手続きについて意見が分かれた。

日本側は、朝鮮国王の要請に基づき、日本公使館とその護衛の安全が脅かされたことを強調し、清国に対して厳しい非難を行った。一方、清国側は日本が政変を引き起こしたとの立場を取り、事態の責任を転嫁しようとした。しかし、最終的に伊藤と李鴻章は妥協に達し、相互撤兵を進めることで合意することとなった。

天津条約の内容

1885年4月18日、天津条約が正式に締結され、以下の主要な内容が盛り込まれた。
1. 日清両国は朝鮮からただちに撤退し、4か月以内に撤兵を完了する。
2. 両国は朝鮮に対し、軍事顧問を派遣しないことを確認する。また、他の国から軍人を招致することができる。
3. 将来的に朝鮮に出兵する際は、必ず相互通知を行うことを定めた。
4. 日本商民殺傷事件については清国軍が再調査し、事実に基づき処罰することが約束された。

条約の締結には、清国がフランスとの戦争に直面し、長引く交渉が日本のフランス接近を妨げることを望んだイギリスの思惑も影響を与えたとされている。これにより、日清両国は朝鮮半島における軍事的緊張を緩和し、相互の領土における安全を確保するための新たな一歩を踏み出した。

結論

天津条約は、日清間の関係改善に寄与しただけでなく、その後の東アジアの国際関係にも影響を及ぼすこととなる。条約の成立は、両国が今後も互いに配慮しながら関係を築いていく必要性を認識した重要な転機であったと言える。

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