甲申政変

甲申政変について

甲申政変（こうしんせいへん）は、1884年12月4日に朝鮮で発生した独立党（急進開化派）によるクーデターである。この事件は、親清派である事大党を排除し、王宮を占拠して新しい政権の樹立を試みたものであった。しかし、清国軍の介入によってわずか3日間で失敗に終わり、朝鮮の歴史において重要な意義を持つ出来事となった。なお、この事件は別名で甲申事変や朝鮮事件とも呼ばれる。

背景

1880年代の朝鮮は、明治維新を経た日本の影響を受けて、近代化を目指す開化派と、清国との関係を重視する守旧派に分裂していた。開化派には急進的な独立党と、より穏健な親清開化派が存在し、それぞれ異なるアプローチで国の進むべき方向を模索していた。特に、急進開化派は外国からの侵略を防ぐために清との関係を打破し、自立した国家を築く必要性を訴えていた。

また、壬午軍乱（1882年）の影響で閔氏政権はさらに親清派として強化され、外交政策は清国に依存する状態が続いていた。これにともない、開化派は内部での主張が二分されることになり、日本の援助を受けて自主的に国を発展させたいと考える急進派と、親清派との連携を模索する中間派に分かれていた。

独立党の活動

独立党の主要なメンバーである金玉均や朴泳孝は、1870年代の終わりから日本に接近し、特に福澤諭吉らと連携し、日本による近代化の必要性を説いた。1879年、金玉均らは日本を訪れ、近代的技術や制度を学び取り入れようとした。彼らは朝鮮の近代化を実現するために、日本の政治制度と資本主義的な経済政策をモデルとしようとした。

クーデタ計画

金玉均は、1884年の清仏戦争を機に動き出す。清国が軍を半減させた隙を突き、朝鮮王国の改革を目指した。また、金は日本からの借款を得ようとしたが、政府の冷淡な反応に失望し、日本に戻る。だが、日本の支持を得るためにクーデターを決意する。1884年12月4日、開庁祝賀の席を借りて事変を起こす計画が練られ、日本の支援を受ける形で実行されることとなった。

クーデタの実行

実行当日、金玉均らは事前に準備した火災を装って混乱を引き起こし、国王を保護するための日本軍の出動を促した。計画は始まりを迎えたが、その場にいた清国兵の動きにより、事態は考えた通りには進展しなかった。各国へ知らせを発表して新政権の成立を宣言するも、清国軍の強大な力に対抗できず、数日後に完全に押し返される。

事後処理

政変の失敗により、日本政府は朝鮮政府と漢城条約を締結し、清国との間には天津条約を結ばざるを得なくなる。甲申政変は、近代国家の樹立を目指した民族運動の一つとして、重要な歴史的意味を持つ。また、この政変によって多くの独立党員が処刑されるなどし、朝鮮における日本の支持は急激に後退することとなった。日本に亡命した金玉均は、その後も波乱の生涯を歩むことになる。この甲申政変は、清国、朝鮮、日本における外交関係や国際的な緊張を一層高める結果となった。

甲申政変は、単に歴史的な出来事としてだけでなく、後の朝鮮半島における動乱や独立運動の先駆けとしても位置づけられる。また、さまざまな政治的背景や西洋列強の動きが複雑に絡み合い、次なる動乱の根源ともなった。

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