天狗山古墳

天狗山古墳の概要

岡山県倉敷市に位置する天狗山古墳は、歴史的に重要な古墳の一つであり、現在も倉敷市の指定史跡として保護されています。この古墳は帆立貝形古墳で、南山山塊の丘の上に約90メートルの標高で築かれています。周辺には天狗山西古墳（天狗山2号墳）があり、共にこの地域における古墳群を形成しています。

古墳の形状と構造

天狗山古墳は前方後円形をしており、前方部は短小で、墳丘は2段に築かれています。墳丘周辺には盾形の周溝と周堤が構築され、墳丘外部では葺石や埴輪が見られます。特に埴輪には円筒型、朝顔形、蓋形など多様な種類があります。

発掘調査と出土品

古墳の中には、戦前に乱掘が行われ祭物として使用されていた副葬品が出土しましたが、最も重要な調査は1997年から1999年にかけて行われました。この発掘調査では、竪穴式石室とともに、その内部から多数の重要な副葬品が発見されました。

石室内部には鎹を用いた木棺が置かれ、銅鏡や武具、特に小札甲（挂甲）や籠手があり、古代の武器や甲冑の実態を知るために貴重な資料とされています。これらの出土品から、古墳時代の人々の生活や交易、文化が垣間見ることができます。

古墳の築造時期

築造時期は、5世紀後半から末頃とされており、造山古墳や作山古墳の勢力が衰退した後に建設されたと考えられています。この時期は、吉備地方における政権の移り変わりがあったと見られ、この古墳の存在はその地域の歴史を理解する上で重要です。

文化財としての重要性

天狗山古墳は2005年に倉敷市の史跡に指定され、その後も発掘報告書が作成されるなど、学術的な関心が寄せられています。また、出土品の一部は東京国立博物館や岡山大学考古資料展示室に保管・展示されており、訪問者に古代の文化を伝えています。

まとめ

このように、天狗山古墳は岡山県の歴史的背景を考察するうえで欠かせない存在であり、多くの研究者によって注目されています。古代の人々の埋葬習慣や技術、文化の理解が深まることで、過去の人々の生活がどのようであったかを知る手助けになるのです。倉敷市を訪れた際には、こうした歴史的な遺産にも目を向けてみてはいかがでしょうか。

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