天白村 (愛知県)

天白村（てんぱくむら）

天白村は、かつて愛知県愛知郡に存在した村で、現在の名古屋市東部に位置していました。この地域は、現在の名古屋市天白区の大部分を占めており、その名は地域を流れる天白川に由来しています。

地理と産業

天白村は、天白川沿いの平地と、それ以外の丘陵地帯や田畑が広がる地域でした。主な産業は農業で、米や麦、特に「天白にんじん」という品種のニンジンが特産品でした。また、平針街道の宿場町「平針宿」としても賑わいを見せていました。

歴史

江戸時代から明治時代

江戸時代初期、この地域は尾張藩領、熱田神宮領、伝馬除地（免租地）といった様々な支配下にありました。

1878年（明治11年）：中根村、八事村、名古屋新田（一部）が合併し、弥富村が成立しました。
1889年（明治22年）10月1日：野並村と島田村が合併し、島野村が成立しました。

天白村の成立と発展

1906年（明治39年）5月10日：植田村、島野村、平針村、弥富村の一部が合併し、天白村が誕生しました。
1928年（昭和3年）3月15日：名古屋市との境界変更により、天白村の一部（旧・弥富村）が名古屋市南区弥富町と中区広路町に編入されました。

名古屋市への編入と天白区の誕生

1955年（昭和30年）4月5日：天白村は名古屋市に編入され、昭和区の一部となりました。
1975年（昭和50年）2月1日：昭和区から分離する形で、旧・天白村の地区が天白区として新設されました。

教育

天白村には、以下の小学校と中学校がありました。これらの学校は現在も名古屋市立の学校として地域に貢献しています。

天白村立天白小学校（現・名古屋市立天白小学校）
天白村立天白小学校野並分校（現・名古屋市立野並小学校）
天白村立八事小学校（現・名古屋市立八事東小学校）
天白村立平針小学校（現・名古屋市立平針小学校）
天白村立植田小学校（現・名古屋市立植田小学校）
天白村立天白中学校（現・名古屋市立天白中学校）

神社・仏閣

天白村には、地域の信仰を集める多くの神社仏閣が存在します。

針名神社
八事神社
塩竈神社
御嶽神社
野並八劔社
島田神社
菅田神社
植田八幡社
徳林寺
観音寺
島田地蔵寺
政林禅寺
仏地院
常楽寺

その他の出来事

旧・天白村役場の建物は、1922年に愛知郡役所建物を移築したもので、名古屋市編入後も使用され、天白区新設時には天白区役所となりました。現在の天白区役所が完成後に解体され、跡地の一部は天白信用農業協同組合事務所の敷地となっています。
旧・天白村は名古屋市編入後に昭和区天白町となり、1961年頃から土地区画整理組合が設立され、急速に開発が進みました。1955年の人口が12,699人であったのに対し、1975年の天白区新設時には87,931人と、約20年間で人口が約7倍に増加しました。
* 1937年（昭和12年）に東山植物園が開園した当時、所在地は名古屋市ではなく旧・天白村でした。

天白村は、その歴史の中で、農業地域、宿場町、そして名古屋市のベッドタウンとして、多様な顔を見せてきました。その変遷は、現在の天白区の発展に大きな影響を与えています。

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