天社禁止令

明治3年閏10月17日 太政官布告745号の概要

明治3年閏10月17日、すなわち1870年12月9日に発表された太政官布告745号は、日本の近代史における重要な法令の一つです。この布告は一般に「天社禁止令」または「天社神道禁止令」と呼ばれており、明治政府による国家の近代化政策の一環として制定されました。特に、この法令は陰陽師と呼ばれる職業の活動を制限し、公的に認証された陰陽師の存在を禁止するものでした。

この布告が出された背景には、陰陽道に基づく伝統的な信仰や職業が、明治政府による新たな国づくりにおいて障害とみなされたことがあります。政府は、科学的・合理的な社会を構築するために、古い宗教観や信仰体系を一掃する必要があると考えたのです。特に、陰陽寮の存在が廃止されたことを受け、この布告は陰陽師の活動を制限する形でたたきつけられました。

布告の内容と影響

布告745号は、陰陽師に対する従来の権威を否定し、国家の権威を確立するためのものでした。従来、陰陽師は天候や農業の予兆、病気の治療など、さまざまな場面で人々の生活を支えていました。しかし、明治政府はそのような古い信仰から脱却し、近代的な法律体系に基づく社会を目指すため、陰陽师という職業を容認しない姿勢を取ったのです。

この布告により、陰陽師たちは公的機関からも認められなくなり、活動を持たない存在となりました。社会的な地位の低下や生業の喪失につながった彼らの多くは、職業を変更せざるを得ない状況に追い込まれました。また、一般市民の意識も変化し、陰陽道に対する関心や信頼も失われていくことになりました。

陰陽道や陰陽師との関係

陰陽師は、古代日本において非常に重要な役割を果たしており、日常生活の中で多くの人々に支持されていました。陰陽道は、占いや風水、天体の運行に基づいたさまざまな知識を組み合わせた体系であり、これらの技術や知識は長い間、日本の文化の中で受け継がれてきました。

しかし、新たに登場した明治政府は、西洋型の合理主義を掲げ、伝統的な信仰や文化を排除する方向に舵を切ります。榎本武揚や大久保利通といった指導者たちもこの流れを支持し、陰陽道や陰陽師の影響力を制限するための政策が推進されました。このようにして、神道と仏教理念の統合や神仏分離の運動が進んでいく中で、陰陽道は次第にその存在感を失っていったのです。

結論

太政官布告745号は、明治政府が旧来の文化、特に陰陽道とつながる陰陽師の活動を禁止することを通じて、近代化を進めるための象徴的な法令でした。この布告は、日本の文化や伝統が新たな時代にどのように消費され、変容していったかを示す一つの重要な事例として位置づけられています。今後もこのような歴史的背景を考慮しながら、文化の多様性や多面性について考えることが求められます。

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