天神真楊流

天神真楊流とは

天神真楊流（てんじんしんようりゅう）は、磯又右衛門柳関斎源正足によって創設された柔術の流派です。この流派は、起倒流とともに講道館柔道の基盤となったことが知られています。

歴史

この流派の創始者である磯又右衛門の実名は磯又右衛門柳関斎源正足（いそ またえもん りゅうかんさい みなもとの まさたり）で、伊勢国松坂に生まれました。彼は楊心流（秋山楊心流）と、そこから派生した真之神道流を学びました。修行の過程では、一柳織部から楊心流を、本間丈右衛門から真之神道流を教わりました。

学びの後、諸国を旅し、京都での修行中に真之神道流と楊心流を融合させ、新たに天神真楊流を開くに至りました。この流派名は、真之神道流の「真」と楊心流の「楊」を組み合わせ、その成立場所である北野天満宮に由来しています。

磯又右衛門は、江州草津での戦いで実戦の有効性を学び、「真の当」という技術を生み出しました。彼は江戸に道場を構え、同時に北辰一刀流とも交流を深めました。

明治時代に、講道館柔道の創始者嘉納治五郎が同流派の師範・福田八之助の道場に入門し、磯又の高弟、磯又右衛門正智の道場で再度学びました。この背景から、天神真楊流は講道館柔道の母体となり、多くの流派と交流を深めることになります。

教えと修行

天神真楊流の修行法は、道場内での稽古着に厳格な規定があり、稽古はさまざまな技を習得することに重点が置かれていました。

流派における修行方法は、手技や締技の習得から始まり、相手への応用も含まれています。特に、当身や締技に重点を置いていました。高坂昌考という門人は、長い修行の中で猪引や瞬発力を鍛えたことを記しています。

天神真楊流では、他流試合も盛んに行われ、特に相手の急所を狙った技が多用されました。この流派の特筆すべき点は、急所に対していかに技を仕掛けるかを教える点です。また、一部の流派には極意の口伝として独自の技術が伝わっており、現在の柔道にも多くの影響を与えています。

他流試合

天神真楊流は多くの他流試合に参加し、技術を競い合ってきました。徳島藩出身の高坂昌考は、柔道や剣術の流派を横断して学び、その経験を通じてさまざまな柔術技を習得しました。彼の記録や、道場内での体験談からは、時間と労力をかけて砕けるような技術の磨き方が確立されていったことが見受けられます。

また、天神真楊流独特の蹴り技はその威力から評価されており、アーネスト・ジョン・ハリソンはこの流派の蹴りを称賛しています。力強い蹴りは、試合の際に非常に有効であり、生存をかけた試合で用いられてきました。

結論

天神真楊流は、柔術の豊かな伝統を持つ流派であり、その技術や歴史は今も多くの武道家に影響を与えています。流派の教えは現代の武道や柔術においても貴重な資源となっており、強さだけでなく、精神の成長も促すものとなっています。

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