起倒流

起倒流の概要と歴史

起倒流（きとうりゅう）は、江戸時代初期に生まれた日本の柔術の流派です。二つの主要な系統が存在し、茨木又左衛門俊房によって創始された「起倒流乱」と、吉村扶寿が再構築した系統が挙げられます。これらの流派は、後に講道館柔道へも大きな影響を与えました。

起倒流の系統

1. 起倒流乱

茨木又左衛門俊房（茨木専斎）が開いた起倒流乱は、特に四国や九州で広まり、佐賀藩や小城藩などで盛んに行われました。しかし、この流派の技術や形は、吉村扶寿の系統と異なる面がありました。例えば、一般的に知られる表十四本裏七本は、茨木専斎の時代には存在していませんでした。

2. 吉村扶寿の系統

吉村扶寿は、初期の起倒流乱を基に再構成を行い、講道館柔道の基盤を築きました。吉村の師については諸説あり、歴史的な関係には不明な点が多いですが、彼の系統は柔道の発展に寄与する重要な役割を果たしました。

起倒流の歴史的背景

流派の背景は諸説あり、福野七郎右衛門正勝や茨木又左衛門俊房がそれぞれの工夫を加え、流派の基盤を築いたとされています。特に、茨木専斎が柳生家での武芸研究を通じて独自の兵法を名づけたことが、起倒流の発展を促しました。また、福野は明国人から中国拳法を学んだという記録も残っています。

起倒流の技術

起倒流の技術は、戦うための身体の状態や動きに重きを置いています。特に、形稽古においても技術の実践に繋がる様々な教えが伝えられています。技術の概要としては、表の型（十四本）と裏の型（七本）から構成され、特に投げ技が中心的な位置を占めています。

各派の特徴

• - 竹中派: 竹中元之進を流祖とし、講道館柔道に影響を与えました。
• - 野田派: 茨木又左衛門を流祖とし、形にとどまらず乱れ稽古を重視しました。
• - 備中派: 原龍渓が中島に道場を開設し、さまざまな流派と技術を融合させて教えていました。

現在の起倒流

日本各地に伝わる起倒流は、各系統において進化を遂げてきました。竹中派と野田派を代表とし、さまざまな伝承が続けられています。特に講道館柔道への影響が大きく、近代柔道の基礎を形成する一因となっています。

結論

起倒流は、日本の武道における重要な柔術の一流派であり、その歴史的背景や多様な系統、技術を鑑みると、今後の研究や理解が期待される分野です。現存する系統を通じて、古来の技術がいかに現代に伝わり続けているのかを知ることが、起倒流の魅力の一つです。

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