天野元之助

天野元之助の業績と経歴

天野元之助（あまの もとのすけ）、1901年2月22日生まれ、1980年8月9日に逝去した彼は、日本における中国経済史の権威として知られる学者です。彼は大阪市立大学文学部で教授を務め、その後追手門学院大学名誉教授に就任しました。

初期の経歴と学問への道

天野は大阪市に生まれ、1926年に京都帝国大学経済学部を卒業します。在学中、彼は経済学の基礎を学ぶと同時に、中国経済の研究に対する興味を抱くようになりました。卒業後、彼は満鉄調査部に入社し、満州や山東省、華中、海南島での農村調査に従事します。この頃、彼は古典的な農業に関する文献の研究も行い、農業の営みや経済構造への理解を深めていきました。

戦後の活動と研究

1945年に太平洋戦争が終結した後、天野は1946年より中国長春鉄路公司科学研究所に主任研究員として参加します。ここでの経験が彼の研究に新たな視点をもたらし、1948年に帰国するまでの間、多くのデータを収集しました。帰国後、京都大学人文科学研究所に入り、中国農業史の研究に専念します。1951年には、学位論文『中国農業経済要論』を京都大学で提出し、経済学博士の学位を取得します。

大阪市立大学での教授職

1955年、大阪市立大学に東洋史学専修が新設される際、彼は同大学の文学部教授として迎えられました。当時、北アジア史を担当する鴛淵一、中国明清史担当の中山八郎、中国古代史担当の佐藤武敏とともに、学問の枠組みを構築しました。天野は、同大学における中国経済や農業の知識を中心に、独自の研究を進めました。

定年退官と名誉教授

1964年に天野は定年退官となり、その後、追手門学院大学にて名誉教授の称号を得ました。彼の長い学問の旅と業績は、多くの後進に影響を与えました。

受賞歴と著作

彼の学識は高く評価され、1963年には『中国農業史研究』により日本学士院賞を受賞しています。この受賞によって、彼の研究が日本国内外で広く認識されることとなりました。これまでの彼の著作には、著書、編著、翻訳があり、その中でも以下は特に重要な作品です。

• - 『現代中国経済論』編（ミネルヴァ書房 1961）
• - 陶希聖『支那に於ける婚姻及び家族史』訳補（生活社 1939）
• - 陶希聖『西漢経済史』（生活社 1940）
• - 華崗『五・四運動史 植民地化とのたたかい』共訳（創元社 1952）

彼の研究は、中国の経済や歴史の理解を深めるための重要な資料となり、後世の研究者たちへの道標となっています。天野元之助の功績は、今もなお中国経済史の研究に大きな影響を与え続けています。

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