天龍型軽巡洋艦

天龍型軽巡洋艦

概要

天龍型軽巡洋艦は、日本海軍が保有した二等巡洋艦であり、初の軽巡洋艦とされています。大正4年に計画され、同型の艦船が2隻建造されました。これらは日本海軍の近代的な設計思想を反映した艦船であり、特に第一次世界大戦後の戦略の変化に対応するためのものでした。

計画と建造の背景

1915年、八四艦隊案が策定され、これに基づき天龍型の設計が始まりました。この艦級は、イギリスのC級軽巡洋艦を参考にし、3,500トン型の巡洋艦として、特に水雷戦隊の旗艦としての役割が期待されました。主砲には14cm砲を採用し、魚雷発射管は3連装のものが初めて装備されるなど、革新的な設計がなされました。

建造は「天龍」が横須賀海軍工廠、「龍田」が佐世保海軍工廠で行われ、1919年にそれぞれ完成しました。しかし、主機関に使用されたオール・ギヤード・タービンに頻繁な故障が見られ、特に「天龍」は竣工が遅れるという問題も抱えていました。

艦型の特徴

天龍型は軽巡洋艦としては比較的小型ですが、駆逐艦の拡張型のデザインが特徴です。船体は短船首楼型であり、主砲や魚雷発射管の配置も考慮されています。また、艦載艇運用のための艤装が整えられています。

兵装

主砲は三年式14cm砲を4門、中心線上に配置しており、8cm高角砲も備えています。魚雷発射管は日本海軍で初めて採用された3連装のものです。機銃も装備されており、対空戦能力を高めています。

装甲と防護

装甲は、当時の他艦と比べても軽めですが、主にアメリカの駆逐艦の火力への防護として設計されています。特に舷側装甲は強度が問われ、水平装甲も配置されていました。これにより戦闘時の防御能力が維持されています。

役割と艦歴

完成後は水雷戦隊の旗艦として活躍した後、5500トン型軽巡洋艦にその役割を譲る形で、他の任務に従事します。「天龍」は太平洋戦争中に沈没し、「龍田」は残ったものの、最終的には戦没しました。両艦は、手にした任務を果たす一方で、艦型の変化に対応するための努力を続けました。

本艦級には、当時の戦略的要求に応じた多様な装備が施されており、その後の日本海軍の艦艇設計においても重要な位置を占めています。天龍型の艦歴は、艦船の進化の一例を示しており、時代の変遷を感じさせるものとなっています。

同型艦

• - 天龍 (てんりゅう)

- 起工：1917年5月17日
- 竣工：1919年11月20日
- 沈没：1942年12月18日

• - 龍田 (たつた)

- 起工：1917年7月24日
- 竣工：1919年3月31日
- 沈没：1944年3月13日

結論

天龍型軽巡洋艦は、日本海軍の艦艇史において重要な役割を果たし、その設計や運用は今なお多くの海軍研究にも影響を与えています。

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