太平府 (広西)

太平府は、中国の歴史において、明代から中華民国初期にかけて広西省に存在した地方行政区画です。その領域は現在の広西チワン族自治区の崇左市一帯に相当します。この府は、行政区画としての役割だけでなく、地域の歴史や文化を理解する上で重要な要素となっています。

明代の太平府

太平府は、1369年（明の洪武2年）に、それまで太平路と呼ばれていた行政区画が改編されて成立しました。明代の太平府は広西省に属し、その管轄下には3つの県、すなわち崇善県、陀陵県、羅陽県がありました。さらに、17もの州を統治していました。これらの州には、左州、養利州、永康州、上石西州、太平州、思城州、安平州、万承州、茗盈州、全茗州、鎮遠州、竜英州、佶倫州、結安州、都結州、思明州、上下凍州が含まれていました。これらの地域は、多様な民族や文化が混在しており、太平府はその統治を通じて地域の安定を図っていました。

清代の太平府

清代に入ると、太平府は引き続き広西省に属しました。行政区画の構成は変化し、崇善県、左州、養利州、永康州、寧明州、明江庁、竜州庁、憑祥庁という2庁4州を管轄しました。さらに、太平土州、安平土州、万承土州、茗盈土州、全茗土州、鎮遠土州、竜英土州、佶倫土州、結安土州、都結土州、思陵土州、下石西土州、上下凍土州、土江州、土思州の16の土州、羅白土県、羅陽土県の2つの土県、そして上竜土司という、多岐にわたる行政区分を管轄していました。土州や土県、土司は、少数民族の自治を認めた特殊な行政区画であり、太平府はこれらの地域を包括的に管理していました。

太平府の廃止

太平府は、1913年、中華民国によって廃止されました。この廃止は、中国の行政区画制度が大きく変化する中で、太平府がその役割を終えたことを示しています。太平府の廃止後、その領域は新たな行政区画に再編され、現在に至っています。

太平府は、その長い歴史の中で、地域の政治、経済、文化に大きな影響を与えました。その存在は、中国の地方行政制度の変遷を理解する上で重要な手がかりとなります。また、管轄下の多様な民族や文化は、この地域の歴史を豊かに彩っています。

もう一度検索