太田城 (紀伊国)

太田城について

太田城（おおたじょう）は、日本の戦国時代に築かれた城で、和歌山県和歌山市の太田地区に位置していました。現在の来迎寺が本丸跡として知られており、城の規模は東西約273メートル、南北約218メートルとされています。近年の調査では、城はほぼ正方形の形をしていたことが明らかになりました。周囲には深い堀が巡らされ、土壁で守られた堅固な構造が特徴です。また、各所には高い櫓が設置されており、三つの城門—大門、南大門、西北門—が存在していました。

沿革

太田城の築城は、延徳年間に紀伊国の統治者である紀俊連によるものと考えられています。彼は神領を保護するため、同時期に秋月城、三葛城とともにこの城を築いたと言われています。特に1576年には、太田左近がこの城を修築したとの記録が残っています。この城が全国的に知られるようになったのは、羽柴秀吉による1585年の水攻めによってです。

第二次太田城の戦い

第二次太田城の戦いは、羽柴秀吉が太田城を攻撃し、水攻めを行った戦いとして有名です。戦の背景には、織田信長の死後、徳川家康が太田衆、雑賀衆、根来衆を誘引しようとしたことがありましたが、最終的にはそれらの連合軍が秀吉と対立する形に発展しました。1585年の3月、秀吉はここを攻撃するために出陣し、多くの兵を動員しました。

戦闘が始まると、秀吉軍はまず斥候隊を送り込みましたが、太田城の鉄砲隊の待ち伏せによって撃退されました。その後、秀吉軍は水攻めに切り替えることを決断しました。紀の川の水をせき止め、周囲に堤防を築く工事が行われ、わずか6日間で完了しました。水の放流が始まると、太田城は日々水に囲まれていきました。

この水攻めに対して、太田城の城兵たちは必死の抵抗を試みましたが、水位が上昇し続け、次第に状況は厳しくなりました。特に、自らの命を守るため、太田左近は最後の抵抗を決意しました。最終的に4月24日に城は開城し、左近以下53名が自害する運命となりました。

戦後の影響

太田城の開城翌日、羽柴秀吉は生き残った兵士たちに向けて許しの証を発しました。この中で、可能な限り民衆を守る意向が示され、太田城の守備隊員たちに対して「武器を捨てて農作業に専念せよ」と指示がされたことが記録されています。開城後、秀吉は太田城を焼き払い、この地はその後廃城となりました。

現在の状態

現在、太田城の跡地は都市化が進み、ほとんどその痕跡を残していません。しかし周辺にはいくつかの遺構が存在し、大門橋がかつての大門の位置を示す文化財として認定されています。また発掘調査によって、城の堀跡と見られる遺構が見つかっていますが、あまりにも住宅地の地下に埋まっているため、全体像を把握するのは難しい状況です。これらの遺構からは、室町時代の遺物や鉄砲玉なども発見されています。

歴史的にも重要な太田城ですが、その姿は現在この地域の発展に埋もれてしまい、かつての栄光をしのばせるものは少なくなっています。城跡へのアクセスは、和歌山駅から徒歩約7分の距離にあり、訪れるが簡単な環境にもかかわらず、城の全貌を知るには多くの情報が求められるため、興味を持つ人々にとっては貴重な学びの場となるでしょう。

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