太田氏資

太田氏資：岩付城主、波乱の生涯

太田氏資（おおた うじすけ）は、戦国時代の武将であり、頼光流岩付太田家の太田資正の嫡男として生まれました。武蔵国岩付城（現在の埼玉県さいたま市岩槻区）の城主です。初名は資房（すけふさ）といいました。

生涯

氏資は天文11年（1542年）に誕生しました。父の資正は扇谷上杉家に従い、反北条氏の立場を取りました。河越城の戦いで上杉朝定が亡くなった後も、北条方の松山城や岩付城を攻略するなど、北条氏に対して抵抗を続けました。しかし、天文17年（1548年）1月には北条氏に帰順しました。

北条氏は、当主である北条氏康の娘を氏資に嫁がせるなどして、太田氏との関係強化を図りました。しかし、資正は北条氏に従いながらも、北条派の家臣を追放するなど、独立の動きを見せていました。永禄3年（1560年）に長尾景虎（後の上杉謙信）が関東に出兵すると、これに応じて北条氏に対して明確な敵対行動を取るようになりました。

永禄6年（1563年）、氏資は父とともに朝廷から任官を受け、従五位下大膳大夫に任ぜられました。しかし、反北条氏の父とは次第に不仲になり、資正が弟の梶原政景に家督を譲ろうとしていることを知ると、一時出家して「道也」と名乗りました。

永禄7年（1564年）、父が第二次国府台合戦で氏康に敗れると、密かに還俗し、父と弟を居城である岩付城から追放して家督を継ぎました。以後は北条氏の家臣として仕え、この際に氏康から「氏」の一字を与えられて「氏資」と改名しました。永禄8年（1565年）には、氏資が簗田晴助を攻めている隙を突いて、資正が岩付城奪還を図り、一部の家臣もこれに応じたため危機に陥りますが、これを撃退しました。

永禄10年（1567年）、三船山合戦で北条軍が里見氏に大敗した際、殿軍（しんがり）を務めて戦死しました。一説には、父親を裏切って北条方についたことから、北条家中の一部から冷遇されていたため、それを払拭するために殿軍を申し出たとも言われています。また、戦闘中に氏資に「越度」（＝落度・作戦上の失敗）があったために殿軍を引き受けたとする説もありますが、当時の言葉で命がけの振舞いの事を「越度」（命を落とすかと思われるほどの「度を越した」活躍）と表現する場合もあり、氏資に作戦上の失敗があったわけではありません。

氏資には男子がいなかったため、北条氏政の三男である北条国増丸が氏資の娘を娶り、太田家代々の名乗りである源五郎を襲名して太田氏を継ぎました。その早世後は、源五郎の実弟である氏房が兄の未亡人を娶って太田家の家督を継ぎました。

太田氏資は、激動の戦国時代を駆け抜けた武将であり、その決断と行動は、現代においても様々な解釈を生んでいます。

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