太田芳郎

太田芳郎：日本テニス界の先駆者

太田芳郎（おおた よしろう）は、1900年1月11日に新潟県で生まれ、1993年3月29日に94歳で没した、日本のテニス選手です。大正から昭和にかけての日本テニス界を牽引し、国際交流と普及に貢献しました。

生涯

新潟県刈羽郡刈羽村赤田北方（現柏崎市）で教員の家庭に育ちました。柏崎尋常高等小学校でテニスに熱中し、新潟師範学校に進学。洲崎義郎の指導の下、「柏陽倶楽部」で腕を磨き、比角尋常高等小学校の教員を経て東京高等師範学校（現筑波大学）に入学。英語科を卒業後、1924年のパリオリンピック代表に選ばれるも、病気のため出場を辞退しました。

1926年には全日本選手権シングルスで優勝。1927年から4年間イギリスに留学し、デビスカップ日本代表として4年連続で出場。1927年には、原田武一、鳥羽貞三、清水善造、三木龍喜と共にインターゾーン決勝に進出し、フランスと対戦しました。太田はフォアハンドの強打を武器に、ヨーロッパの大会でも数々の優勝を飾りました。

1931年に国際テニスクラブ名誉会員に選ばれ、現役引退後は東京体育専門学校（現筑波大学体育専門学群）教授や東京ローンテニスクラブ支配人を務めました。1967年から1969年にはデビスカップ監督を務め、日本庭球協会常務理事としてテニスの普及に尽力しました。

第二次世界大戦後は東京都東村山市に居を構え、12年間東村山市教育委員会委員長を務めました。1964年には東村山市体育協会を設立し、10年間会長を務めました。太田の尽力により、1976年に東村山市体育協会と柏崎体育団のスポーツ姉妹提携が結ばれ、両市のスポーツ交流が始まりました。太田の没後、1995年に東村山市と柏崎市は姉妹都市提携を結んでいます。

1990年11月、東村山市名誉市民の称号を贈られました。

主な戦績

4大大会

全仏：最高4回戦（1930年）
ウィンブルドン：最高3回戦（1927～30年）
全米：最高2回戦（1927年）

国内

全日本選手権シングルス優勝（1926年）
デビスカップ出場：1927～30年（シングルス13勝8敗、ダブルス0勝1敗）
全日本ランキング：1923年3位、1924年5位、1925年3位、1926年1位

著書

太田はテニスの技術書や入門書を多数執筆し、後進の指導に貢献しました。

『テニス』目黒書店、1925年
『新しい庭球術 : コーチ・練習・試合』目黒書店、1931年
『テニス読本』玄理社、1948年
『テニス』体育の科学社、1953年
『テニス読本』創世社、1953年
『軟式テニスのABC』良文堂、1955年
『硬式テニス 基礎と実践』成美堂、1973年
（共著）『庭球』学芸出版社、1961年

エピソード

柏崎市で開催されるテニス大会「太田杯」は、太田芳郎がカップを寄贈したことがきっかけで創設されました。

太田芳郎は、日本のテニス界の発展に大きく貢献した人物として、その名が深く刻まれています。

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