太秦供康

太秦供康：軍人・政治家・華族の生涯

太秦供康（うずまさともやす）は、明治から大正時代にかけて活躍した、日本陸軍の軍人、政治家、そして奈良華族であった人物です。1866年（慶応2年）12月5日、山城国京都で誕生しました。右近衛権佐・堀河親賀の三男として生まれた彼は、後に元興福寺慈尊院住職・太秦供親の養子となり、1872年（明治5年）には養父の隠居に伴い家督を相続しました。

1875年（明治8年）には華族に列せられ、1884年（明治17年）には男爵を叙爵。華族としての地位を確立した彼は、その後、陸軍への道を歩み始めます。陸軍士官学校（旧10期）を卒業し、1888年（明治21年）7月28日には歩兵少尉に任官。

軍人としての経歴は華々しいものでした。歩兵第37連隊中隊長、歩兵第49連隊大隊長などを歴任し、彰仁親王附の皇族附武官や元帥副官を務めるなど、要職を歴任しました。 第1師管軍法会議判士長、天長節観兵式諸兵指揮官副官、被服装具陣具及び携帯食糧改良審査委員など、多岐にわたる任務にも携わっています。最終階級は歩兵少佐に昇進しましたが、1908年（明治41年）には予備役に編入されています。

軍務の傍ら、政治にも関与しました。1911年（明治44年）3月14日には、貴族院男爵議員補欠選挙で当選。研究会に所属し、貴族院議員として活動しました。政治家としての活動は、彼が死去する1925年（大正14年）1月30日まで続きました。多磨霊園に眠る彼の墓所は、波乱に満ちた生涯の終着点となっています。

太秦供康の家族構成も興味深い点です。養母には太秦周子（高野保美の二女）、妻には太秦信子（山井氏胤の三女）がいました。長男は太秦康光（男爵、北海道大学名誉教授）で、長女は登美子（平山洋三郎夫人）でした。 彼の家族は、華族社会や学術界など、多様な分野で活躍した人物を輩出しています。

太秦供康の生涯は、華族という特権的な地位、軍人としての揺るぎない責任感、そして政治家としての活動という、三つの側面を兼ね備えた、複雑で多様なものでした。 彼は時代を駆け抜けた、まさに明治・大正時代のエリートの一人であったと言えるでしょう。彼の生き様は、激動の時代を生き抜いた一人の人物像を鮮やかに描き出し、現代社会においても学ぶべき点が多く含まれています。 彼の功績と生き様は、日本の歴史の中で重要な一ページを飾るものと言えるでしょう。 今後の研究においても、彼の生涯は貴重な資料として活用されていくはずです。

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