太陽の涙

太陽の涙

1971年12月7日から1972年5月30日にかけて、TBS系列の「木下恵介アワー」枠で放送されたテレビドラマ『太陽の涙』。木下恵介の脚本による、全26回のカラー作品です。

ストーリー

鉄板焼き料理店を営む前田寿美子（山本陽子）は、見合い話を持ちかけられます。紹介者は、蕎麦屋「信濃路」のはつ（菅井きん）です。しかし寿美子は、相手の写真を見ることさえ拒否し、縁談を断ってしまいます。

一方、旅行会社に勤める及川正司（加藤剛）は、骨折で入院中の義弟・勉（小倉一郎）を見舞います。ヨーロッパ出張が決まったことを報告するためです。勉は、病院売店で働く池本良子（沢田雅美）に想いを寄せており、売店に入り浸っています。その売店には、1年半も入院している身寄りのない老人、小川（三島雅夫）もよく訪れていました。小川は、他の患者たちから冷たくあしらわれ、孤独な日々を送っていました。

正司は、小川からベニスに着いたら絵葉書を送ってほしいと頼まれます。正司は快諾し、ヨーロッパへ旅立ちます。約束通り、ベニスから絵葉書を送った正司でしたが、帰国後、良子から小川を励ますため、彼の息子として病室を訪れてほしいと頼まれます。正司は、その頼みを聞き入れ、小川を驚かせます。

その売店で、正司は寿美子が縁談を断った相手が自分自身であることを知ります。実は寿美子は、義弟の勉から抗議を受けたことがきっかけで、正司に会いに病院を訪れたのです。偶然の出会いをきっかけに、正司と寿美子の間には、不思議な縁が芽生え始めます。寿美子はお見合いの相手である正司に一目惚れしていましたが、正司が小川の「息子」であることを知って、さらに複雑な気持ちを抱きます。

寿美子の父・新作（浜村純）からは、はつを通じて再三縁談の誘いが来ますが、寿美子は正司への想いを優先し、それに耳を貸しません。

キャスト

及川正司：加藤剛
前田寿美子：山本陽子
池本良子：沢田雅美
井上はつ：菅井きん
及川勉：小倉一郎
及川高行：長浜藤夫
前田新作：浜村純
宮沢泰子：馬渕晴子
小川：三島雅夫
その他多数

スタッフ

企画・脚本：木下恵介
演出：大槻義一、川頭義郎
音楽：木下忠司
プロデューサー：小梶正治
* 制作：松竹、木下恵介プロダクション、TBS

主題歌

「太陽の涙」（作詞：尾中美千絵、作曲：木下忠司、唄：有賀公彦）

作品のテーマ

このドラマは、戦争によって引き裂かれた家族や、孤独な老人の心の機微を繊細に描き出しています。一見、無関係な人々の出会いが、やがて大きな繋がりを生み出し、それぞれの心の傷を癒していく様子が丁寧に描かれています。「太陽の涙」というタイトルが示唆する、感動的な結末にもご注目ください。 様々な困難や悲しみを経験した人々が、新たな希望を見つける過程が、視聴者の心に深く響く作品と言えるでしょう。 一見すると対照的な登場人物たちの、心の交流と成長の物語は、現代社会においても普遍的なテーマを提起しています。 家族の絆、人間関係の温かさ、そして人生の希望といった、普遍的なテーマが丁寧に描かれています。

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