菅井きん

菅井きん (1926年 - 2018年)

菅井きん（すがい きん）は日本の女優で、長いキャリアの中で多くの映画やテレビドラマに出演しました。本名は佐藤キミ子。1926年2月28日、東京府東京市牛込区早稲田町に生まれました。彼女は頌栄高等女学校を卒業後、1943年から終戦まで文部省と東京帝国大学の事務職員として働いていました。しかし、演劇への情熱は消えず、1947年に東京芸術劇場に入所するも解散。その後、劇団俳優座に所属し、舞台に立つことになります。

彼女の芸名「菅井きん」は、当時の旧姓をアレンジしたもので、新劇時代の恩師で脚本家の久保栄に名付けてもらいました。女優としての道を進む決意をしたものの、父親からは反対を受けたというエピソードがあります。しかし、彼女は1951年に映画『風にそよぐ葦』で女優デビューを果たしました。その後も、『ゴジラ』など多くの作品に出演し、さまざまな役柄を演じました。

特に頼もしい存在として知られたのは1973年に始まった『必殺仕置人』での中村せん役です。以降シリーズでその役柄を演じ続け、彼女のキャリアにおける重要な位置を占めました。中村せんのイビりキャラクターは強く印象に残り、菅井自身もこの役柄に多くの工夫を凝らして演じた言われています。

また、彼女は1970年代から1980年代にかけて、多くのバラエティ番組にも出演し、その個性的なキャラクターで観客を楽しませました。特に『タモリのボキャブラ天国』では、スカイダイビングに挑戦した姿が話題となりました。91歳で映画『ぼくのおばあちゃん』に出演し、初主演を果たすなど、年齢を感じさせない活躍を見せました。

家庭では、映画プロデューサーの佐藤正之と結婚後、一女をもうけました。佐藤が1996年に亡くなると、彼女は娘家族と共に生活し、家族を大切にしました。40代後半から80代にかけても活躍し続け、2008年には世界最高齢映画主演女優としてギネスにも認定されました。

健康上の問題も抱えるようになり、2010年以降は事実上の引退生活を送りました。2014年には報道で認知症の噂が流れたものの、彼女は元気に公の場に登場し、その健康を証明しました。2018年8月10日、92歳で心不全のため逝去しました。

菅井きんの生涯は、情熱と努力の象徴でした。長きにわたり、彼女は日本の演劇界と映画界に深い足跡を残し、世代を超えた観客に愛され続けました。彼女の記憶は、今もなお、彼女の演じた多くのキャラクターとともに、多くの人々の心に生き続けています。

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