失透

失透（しっとう）とは

失透は、結晶を持たないアモルファス（非晶質）ガラスが結晶化する過程を指し、主に「透明性を失う」という形で顕著になります。この現象は主にガラス工芸や地質学の分野で重要な役割を果たします。

ガラス工芸における失透

失透はガラス工芸の中で特に影響が大きい現象です。例えば、融解したガラスを加熱処理している際に、表面に白い膜ができたり、クレージング（亀裂状の模様）が現れたりします。この場合、通常は滑らかで光沢のあるガラスの仕上がりに対し、見た目や質感が損なわれることになります。

その原因は、ガラスの分子構造が結晶の形状に変化することによるものです。失透は多くの場合、工芸品においては望ましくない効果ですが、意図的に用いられる場合もあります。特に、アーティストは独自の手法としてこの現象を利用し、特有のビジュアル効果を生み出すことがあります。

失透が発生する主な要因の一つは、高温での長時間の加熱です。これにより、結晶の核が生成されることになります。また、焼成前にガラス表面や窯内に存在する異物が結晶の成長を助ける核生成点を形成することもあります。化学組成の中に失透を助長する物質が含まれている場合もあり、特に石灰分が多い材料はその傾向を持つことが知られています。一般に、不透明度のあるガラスは結晶を含んでいるため、失透しやすいのです。

失透を回避するためには、ガラス表面の清掃や、焼なまし温度に達した後はすぐに冷却することが効果的です。

地質学における失透

地質学の分野では、失透は「脱ハリ化」または「脱ガラス化」として知られています。一般的には、マグマからの結晶化全般もこのプロセスに関連付けられますが、特に黒曜石のようなガラス状の岩石における球状な珪長質物質（スフェルライト）の形成においてよく使われます。ガラス物質から結晶物質へと変わる過程が脱ガラス化と呼ばれており、スフェルライトが見られることがその証拠となります。

また、パーライトは水和によって膨張したガラスから生成され、必ずしも脱ガラス化が起因ではありません。

グラスウールにおける失透

失透の現象は、高温用途で使われるグラスウールにも影響を与える可能性があります。このため、潜在的に発癌性のある鉱物粉末が生成されるリスクが懸念されています。

まとめ

失透は、ガラス工芸や地質学の分野で重要な現象であり、その理解は様々な応用や技術にとって欠かせません。繊細なガラス工芸品や自然界の物質の変化を理解するためには、失透のメカニズムを知ることが重要です。

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