奄美共産党

奄美共産党とは

奄美共産党（あまみきょうさんとう）は、1947年4月10日に設立された政党で、当時アメリカの施政権下にあった鹿児島県奄美群島で活動していました。党の設立は、占領政策や国の帰属問題に対抗する一環として進められ、特に奄美地方における祖国復帰運動を推進する役割を果たしました。

党の結成と歴史的背景

1945年、第二次世界大戦の終結後、奄美群島はアメリカの施政下に置かれました。この状況下で、中村安太郎や島本忠雄らの地元活動家たちが、奄美の政治組織を立ち上げるための準備を始めましたが、初めは成功には至りませんでした。その後、1946年12月には、久留義蔵が本土の日本共産党から派遣され、奄美での党組織の確立に取り組みました。

1947年2月には、奄美での共産党の活動家たちが集まり、日本共産党の方針に基づいた新しい綱領を作成しました。そして、同年4月10日、奄美共産党が正式に設立され、主に「奄美人民政府樹立」を掲げ、様々な地元団体と連携しながら活動を展開しました。

活動と弾圧

奄美共産党は、その設立後の活動において大規模な食糧問題対策を講じ、1949年1月には機関誌「ジンミンセンセン」を発行しました。この誌面では食料の高騰や欠乏の問題について議論し、アメリカ軍政官に具体的な価格引き下げを要望しました。これにより、実際に食糧価格が引き下げられるなど、彼らの活動は一定の影響を持ちました。

しかし、その後の弾圧が待ち受けていました。米軍や日本の警察は、党の機関誌を押収し、党幹部を逮捕するなど、容赦ない弾圧を行いました。この影響で、復帰運動は一時的に停滞を余儀なくされたものの、奄美共産党は地下活動を続けました。

合法政党「奄美社会民主党」の結成

1950年、奄美群島政府が誕生したことにより、共産党は合法政党である奄美社会民主党の結成に着手しました。教育者であり出版人でもある泉芳朗を中心に、沖縄にも広がる復帰運動を推進していきました。社会民主党は、労働組合や婦人団体など多くの民間組織と連携しながら、地元政治に積極的に参加し、日本復帰の具現化に向け努力していきました。

復帰運動の進展

特に1951年の「帰属問題対策協議会」では、署名運動を通じて日本への復帰を求める活動が展開されました。これらの活動は多くの人々を動員し、復帰運動の中核として機能したのです。名瀬市での巨大な集会も成功を収め、参加者たちは日本復帰を訴えました。

最終的な統合

1951年9月にサンフランシスコ講和条約が締結されると、沖縄、奄美、および小笠原はアメリカの支配下に置かれることが決まりました。このため、奄美共産党はその後、日本共産党奄美地区委員会との統合を進めました。これにより、奄美地方の復帰運動は新たな段階へと進展したのです。

結論

奄美共産党は、奄美群島における政治的、市民的な運動において重要な役割を果たしました。彼らの活動は、当時の社会情勢を反映しつつ、地方政治の形成に寄与し、結果的に日本復帰という歴史的な出来事に繋がる一因となりました。

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