名瀬市

名瀬市（なぜし）

名瀬市は、かつて鹿児島県奄美大島に存在した市です。2006年に笠利町、住用村と合併し、現在は奄美市の一部となっています。奄美地方の中心都市として、行政、経済、文化の中心的な役割を担っていました。

地理

名瀬市は、奄美大島の中央部に位置し、東シナ海と太平洋に面しています。市域の中央部は山林や原野が広がる高原地帯です。鹿児島港から南西へ約383キロ離れており、市街地の密集度は鹿児島市に次ぐほどでした。商業施設や公共施設が充実しており、アーケード街などの賑わいも見られました。特に屋仁川通り周辺は飲食店街として知られ、奄美群島全体の経済圏を支えていました。

歴史

名瀬の地名の由来には諸説あり、魚瀬、空地、大島の中地などの説がありますが、定説はありません。「なぜ」と読むのが正しいですが、地元では「なせ」と発音されることもあります。

名瀬の歴史は古く、『日本書紀』には657年に「海見島」という記述があります。古代には遣唐使の寄港地となり、国家との交流がありました。中世には按司と呼ばれる豪族が台頭し、15世紀には琉球王国の支配下に入りました。1609年には薩摩藩の琉球侵攻により薩摩藩の直轄地となり、明治時代には町村制の施行によって名瀬村が発足しました。その後、町制、市制を経て、奄美市の誕生とともにその歴史を閉じました。

近現代の歩み

1908年（明治41年）：名瀬村が発足。
1922年（大正11年）：一部地域が分立し、名瀬町となる。
1946年（昭和21年）：アメリカ軍の統治下に入る。
1946年（昭和21年）：名瀬市に改称。しかし、この時点では市制ではなく町村制が適用されていた。
1953年（昭和28年）：日本に復帰し、地方自治法が適用され正式に市となる。
1955年（昭和30年）：三方村を編入。市街地で大火が発生。
* 2006年（平成18年）：笠利町、住用村と合併し、奄美市となる。

行政

名瀬市は、合併前の最後の市長として平田隆義氏が務めていました。

産業

名瀬市は、奄美大島における商業の中心地であり、大島紬などの伝統工芸も盛んでした。また、漁業も重要な産業の一つでした。

文化

名瀬市には、大浜海浜公園、奄美海洋展示館、金作原原生林などの観光スポットがあり、多くの観光客が訪れていました。また、奄美まつりなどの祭事も開催され、地域文化を盛り上げていました。

教育

市内には、小学校、中学校、高等学校のほか、専門学校もありました。奄美地域の教育の中心的な役割を果たしていました。

交通

名瀬港は、鹿児島や沖縄を結ぶ航路の拠点でした。また、市内には国道58号や主要地方道が整備されており、交通の要衝でした。

報道・通信

名瀬市には、新聞社や放送局の支局があり、奄美地域の情報発信の中心地でした。

名瀬市出身の著名人

名瀬市は多くの著名人を輩出しています。徳田毅（衆議院議員）、きだみのる（小説家）、中孝介（歌手）などがいます。

合併とその後

名瀬市は、2006年に笠利町、住用村と合併し、奄美市となりました。合併後、旧名瀬市域は奄美市の地域自治区「名瀬」となりましたが、地域自治区の設置期限が2016年3月31日に満了し、現在は地域自治区名を除いた「奄美市○○(町)」という住所表記になっています。

名瀬市は、その歴史と文化を背景に、現在の奄美市の発展に大きく貢献しています。

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