奈良希愛

奈良 希愛

日本のクラシック音楽界を代表するピアニスト、奈良 希愛（なら きあい）は、1973年5月4日に兵庫県神戸市東灘区で生を受け、千葉県千葉市花見川区で育った。国立音楽大学音楽学部ピアノ科の准教授として教鞭を執る傍ら、国際シューマン協会の会員として研究活動も精力的に行っている。

学歴と研鑽

千葉大学教育学部附属小学校、同附属中学校を経て、千葉市立千葉高等学校を卒業。その後、東京藝術大学音楽学部器楽科ピアノ専攻に進学し、卒業時には読売新人演奏会および同声会主催卒業演奏会に出演するなど、早くからその才能を発揮した。

さらなる研鑽のため、ベルリン芸術大学へ留学。同大学を首席で卒業したのみならず、ベルリン芸術大学院国家演奏家コースを最高点にて首席修了という輝かしい成績を収めた。この間、マドリード王立高等音楽院にも在籍し、さらにローマでも音楽的視野を広げた。ニューヨーク・マンハッタン音楽院大学院のプロフェッショナルスタディーコースを修了する際には、室内楽科助手としても活動し、教育者としての第一歩を踏み出した。

これまでに、ピアノを高良芳枝、小林仁、K.ヘルヴィッヒ、J.ソリアーノ、S.ペルティカローリの各氏に、歌曲伴奏法を原田茂生、D.F.=ディースカウ、A.ライマン、W.リーガー、D.ボールドウィンの各氏に師事し、多様な視点から音楽を学んだ。また、ジャズ演奏法をJ.スタイル氏に、指揮法をD.ジャルベール氏に師事するなど、幅広い分野に興味を示している。

演奏・教育・研究活動

現在は日本とドイツ・ベルリンを拠点に、多岐にわたる音楽活動を展開している。ソロリサイタルに加え、室内楽や歌曲伴奏にも積極的に取り組み、特に室内楽においては、ベルリンフィル、ベルリン国立歌劇場管弦楽団、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団といった世界的なオーケストラのメンバーをはじめ、海外の著名な演奏家たちから厚い信頼を得て共演機会も多い。ソロリサイタルと室内楽を組み合わせた「奈良希愛アンサンブル・シリーズ」を隔年で開催し、独自の企画を展開している。

教育者としては、母校である国立音楽大学での指導に加え、国内外の教育機関やマスタークラスに招聘されている。アメリカのマンハッタン音楽院、浜松国際ピアノアカデミー、韓国の仁済大学校、シンガポール国立大学、中国の吉林芸術学院など、アジア、ヨーロッパ、アメリカ各地で指導にあたっている。特に、第18回および第19回浜松国際ピアノアカデミーでは、体調不良により休養を余儀なくされた音楽監督、中村紘子氏の依頼を受け、急遽そのクラスのソロ・レッスンを代行したことは特筆される。

研究分野では、ロベルト・シューマンを中心としたドイツ・ロマン派音楽の作品および作曲家に関する研究に深く取り組んでおり、その成果は演奏活動や執筆活動にも反映されている。

主な受賞歴

その才能は国内外のコンクールで高く評価されている。

第45回全日本学生音楽コンクールピアノ部門高校の部 全国第1位（野村賞、NHK賞）
アルトゥル・シュナーベル・コンクール 第2位 (1997年)
第51回ブゾーニ国際ピアノコンクール 第6位 (1999年)
第4回浜松国際ピアノコンクール 奨励賞 (2000年、セミファイナル)
第12回バレンシア国際ピアノコンクール・イトゥルビ賞 第4位 (2000年、セミファイナル)
第13回ピアニストと歌手のためのローベルト・シューマン国際コンクールピアノ部門 優勝（2000年、日本人初）
第3回ウィグモアホール国際声楽コンクール（バリトンとのデュオ）1位なしの第4位、および聴衆賞受賞 (2001年)

職歴

2004年1月 - 2004年12月：マンハッタン音楽院室内楽科助手
2006年4月 - 2010年3月：相愛大学音楽学部ピアノ科専任講師
国立音楽大学音楽学部専任講師を経て、現在 同大学准教授
* 現在：相愛大学音楽学部非常勤講師、昭和音楽大学ピアノアートアカデミー講師

幅広い活動と卓越した才能により、奈良希愛は日本の音楽界において重要な位置を占めている。

もう一度検索