千葉大学教育学部附属小学校

千葉大学 教育学部附属小学校

千葉大学教育学部附属小学校（ちばだいがくきょういくがくぶふぞくしょうがっこう）は、千葉県千葉市稲毛区弥生町に所在する、国立大学法人千葉大学教育学部の附属小学校です。一般的には「千葉附（ちばふ）」、「附小（ふしょう）」、「附属小（ふぞくしょう）」などと略称されます。千葉大学の西千葉キャンパス内に位置しています。

概要と特色

本校は、かつて存在した第一小学校と第二小学校が統合されてから50年以上の長い歴史を持つ伝統校です。教育における独自の取り組みとして、授業の開始・終了を知らせるチャイムを鳴らさないノーチャイム制を採用しており、児童は時間を意識して行動することを学びます。また、制服は定められていません。学校の名物として知られる「附小コロッケ」は、多くの児童や関係者に親しまれています。学期制は2学期制を採用しており、クラス替えについては、平成25年度以降は毎年実施されていましたが、現在は3年生と5年生に進級する際にクラス替えが行われています。校舎は近年改修が進められ、全ての教室に冷暖房が完備されるなど、快適な学習環境が整備されています。

学級編成

本校では、原則として1学年あたり3クラス編成（1組から3組）で、各クラスの定員は35人です。これは文部科学省の勧告に基づく35人学級に対応したもので、平成24年度に入学した児童から適用されました。それ以前は1学年の定員は約120人でしたが、国立大学法人化に伴う人件費削減の観点からクラス数が減少し、現在の編成に至っています。男女比率は概ね1対1となるように調整されています。ただし、4年生からは海外からの帰国児童を受け入れる帰国学級が加わるため、学年全体で4クラス編成となります。帰国学級については、男女比率は特に定められていません。

学業

週5日制で教育活動を行っています。時間割の編成は一般的な小学校とは大きく異なり、1日をABCの3つのブロックと休み時間に分け、20分を1単位とするモジュール形式を採用しています。この形式では、授業内容に応じて時間を柔軟に設定でき、例えば漢字や計算などの基礎学力の習得には20分間の短いモジュールを繰り返し利用し、理科の実験や図画工作、総合的な学習の時間など、より長い活動時間が必要な科目には60分や80分といった長いモジュールを組み合わせています。調理実習など、さらに時間を要する活動には100分が設定されることもあります。英語教育は1年生から導入されており、週1回、外国人講師と日本人教諭が協力して授業を担当します。4年生までの英語の授業時間は20分ですが、5年生以上では40分に延長されます。ICT環境も整備されており、各クラスには児童全員が利用できる台数のパソコンが支給されています。卒業後の進路として附属中学校への進学だけでなく、都内の私立中高一貫校や地元の進学校（渋幕、東邦など）を目指す児童もおり、そうした児童はSAPIXや四谷大塚といった高度な進学塾にも通学しています。

進路

多くの児童が、卒業後も引き続き千葉大学教育学部の附属中学校へ進学します。その割合は8割以上を占めています。かつては附属中学校へ進学するために内部試験を受ける必要がありましたが、現在は試験なしで全員が附属中学校への内部進学資格を有しています。ただし、外部の学校の受験に挑戦する児童については、附属中学校への進学資格を失うことになります。

沿革

本校の歴史は古く、明治初期に創設された印旛官員共立学校に遡ります。幾度かの改称や移転を経て、明治7年（1874年）に千葉小学校が千葉師範学校と改称された日を創立記念日としています。明治9年には附属小学校の校舎が新築されましたが、火災に見舞われるなど困難もありました。その後も師範学校の変遷に伴い名称や所在地を変更し、大正12年（1923年）の関東大震災では校舎が大きな損害を受けました。昭和16年（1941年）には国民学校令により附属国民学校と改称、昭和18年（1943年）には国立移管され千葉師範学校附属小学校となりました。戦後の学制改革を経て、昭和24年（1949年）に新制千葉大学の発足に伴い千葉大学教育学部の附属学校となり、昭和25年（1950年）には附属第一小学校と附属第二小学校に改称されます。そして昭和41年（1966年）に、旧第一小学校と旧第二小学校が統合され、現在の西千葉キャンパスに移転し、千葉大学教育学部附属小学校として新たな歴史を歩み始めました。この統合を記念する式典が毎年4月に実施されています。その後も特殊学級の独立（昭和48年）、海外帰国子女学級の増設（昭和55年）、ノーチャイム制の施行（昭和58年）、校舎の改修・増築などを経て現在に至ります。平成16年（2004年）には国立大学法人化に伴い、国立大学法人千葉大学教育学部附属小学校となりました。学級数の編成にも変化があり、平成16年度から平成21年度にかけて4学級から3学級へ削減されています。

校歌と校章

校歌は吉村比呂詩氏が作詞し、松本民之助氏が作曲しました。歌詞には、校庭に植えられ本校のシンボルツリーとなっているハクモクレンと、かつて学校から望むことができた富士山が歌われています。文集の題名にも「ハクモクレン」が用いられています。

校章のデザインは、かつてこの地域で麻が盛んに栽培されていたことに由来します。麻は荒地にも強く、しなやかでまっすぐに伸びる性質や、その繊維の強靱さが特徴です。この麻の葉の意匠に、千葉の土地柄と、附属学校の児童・生徒が困難に負けずにたくましく成長し、理想に向かってまっすぐに伸びゆく姿が象徴されています。

年間行事

年間を通して様々な行事が行われます。4月に入学式と統合記念式典があり、5月には運動会や1年生歓迎集会が開催されます。学年によっては林間学校（4・5年生）や修学旅行（6年生）が実施されます。12月には文化祭が行われるなど、多様な活動を通じて児童は学びを深めます。その他、七夕集会（1・2年）、もちつき大会（1・2年）、千葉市球技大会、6年生を送る会、縄跳び集会など季節や学年に応じた行事があります。月に一度、クラブ活動や委員会活動も実施されています。

所在地と交通

学校は千葉県千葉市稲毛区弥生町1-33に位置しています。最寄りの駅は、JR東日本総武本線の西千葉駅と、京成電鉄京成千葉線のみどり台駅です。西千葉駅からは千葉大学西千葉キャンパスの南門が最寄りですが、児童の安全を考慮し、大学構内を通らずに、大学敷地に沿って正門まで歩いて通学するよう指導されています。

学区

千葉市内の広い範囲から児童が通学していますが、入学条件として通学時間が1時間以内であるという制限があるため、千葉市内全域が対象ではありません。具体的には、中央区と美浜区、稲毛区は全域が、花見川区、若葉区、緑区は一部の地域が学区対象となります。児童は居住地域ごとに「通学グループ」と呼ばれる小規模な集まりに編成されており、定期的にグループ単位で集まり、登下校時の安全確認や交通マナーに関する指導が行われています。

著名な出身者

本校からは、教育界や各界に多くの著名な人材を輩出しています。

教職員

手塚岸衛（教育者） - 千葉師範学校附属小学校時代
野口芳宏（教育者、植草学園大学名誉教授など）
橋本光明（教育者、信州大学名誉教授など）
上杉賢士（教育者、日本PBL研究所理事長など）

卒業生

志位和夫（政治家、衆議院議員、日本共産党中央委員会議長）
臼井日出男（元政治家、元衆議院議員）
小幡績（経済学者、慶應義塾大学准教授）
青柳隆志（日本文学者、東京成徳大学教授、声優 - ミッキーマウス専属）
高橋治男（フランス文学者、中央大学教授）
落合英二（薬学者、東京帝国大学名誉教授など） - 千葉師範学校附属小学校時代
奈良希愛（ピアニスト）
弘田龍太郎（作曲家） - 千葉師範学校附属小学校時代
増山麗奈（画家、作家、映画監督など）
小川哲（SF作家）
彩瀬まる（小説家）

その他

校庭にある通用門の一つは現在閉鎖されていますが、この門は1969年（昭和44年）に、当時の大学における学園紛争が激化し、児童の安全確保が必要となった有事に備えて設置されたものです。現在では、校外学習などで大型バスを利用する際に、児童が安全に乗降するために使用されることがあります。

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