奈良林祥

奈良林祥（ならばやし やすし）は、1919年に東京で生まれ、2002年に83歳で生涯を閉じた、日本の医学者であり、性科学研究のパイオニアです。東京医科大学を卒業後、東京都衛生局に勤務し、家族計画の普及と避妊法の指導に尽力しました。

1961年、東京・四ツ谷の主婦会館相談室長に就任して以来、約40年にわたり、主婦会館クリニックで結婚と性に関するカウンセリングを行いました。この間、多くの人々の悩みや疑問に寄り添い、適切なアドバイスを提供しました。

1971年からは、ベストセラーズ社より『How To Sex』シリーズを出版し、性交のテクニックをカラー写真で解説するという、当時としては画期的な試みで、250万部以上を売り上げる大ベストセラーとなりました。このシリーズは、性に関する情報が不足していた時代において、多くの人々に正しい知識を提供する上で重要な役割を果たしました。

1973年には、優生保護法の成立による人工中絶手術の急増を憂慮し、それまで家族計画相談を行っていた相談室を、女性の性生活に関する相談を専門とする、日本初のカウンセリングルームとして再スタートさせました。これは、女性の性的健康と幸福をサポートするという、彼の強い意志の表れでした。

1983年には、『Let's Sex』を出版し、その巻末には奈良林の名言が4つまとめられています。これらの言葉は、彼の性に対する考え方を端的に表しており、特に以下の2つは、彼の著作で繰り返し述べられてきた、最も重要な主張とされています。

「一つ女は酔わねばならぬ　一つ男は耐えねばならぬ」
「男とは、汗水たらし精魂をこめ、へとへとになるほどに、女の満足のためにつくして、悔いなき生きものである」
「あわてたセックスは収穫少ない　挿入までの時間はじっくりと」
「セックスとは、いかに女性を酔わせ満足に導くかという　男の愛と努力の数十分である」

これらの言葉は、単なる性的な行為ではなく、愛と努力を伴う、パートナーとの深い繋がりを築くためのものであるという、彼の信念を伝えています。

奈良林は、生涯を通じて、性に関する正しい知識の普及に努め、多くの人々の性に対する意識改革に貢献しました。彼の著書は、今でも多くの人々に読まれており、その影響力は計り知れません。

主な著書としては、『レズビアン・ラブ』、『How To Sex - 性についての方法』シリーズ、『奈良林リポート - 現代社会診断』、『おとなへの出発（たびだち） 十代 - 心とからだの変化』、『MY SEX』、『愛と性のセミナー 青春をゆたかに生きるために』、『45歳からのSEX - 自信がつくミドルエイジの性生活の知恵』、『もうちょっとで最高 For sex climax』、『誤解だらけの家族の性 - 性の生き方・教え方』、『PLAY SEX FOR YOU』、『Let's Sex』、『新 How to sex』、『おぬし、男になれるゾ』、『ベストsex 生命の根源としての性を謳う』、『現代性教育考』、『The Best Sex - 悦楽にいたる9章』、『実戦 HOW TO SEX - よみがえる快楽のために』、『50歳からの性生活の心得』、『新 HOW TO SEX - 性についての方法』、『性を病むニッポン - 母親の執着が息子をマザフィグ族にする』、『決定版 How to sex よろこびの瞬間 - その謎を解く』、『お父さんご存じですか - SEX版コロンブスの卵』、『権力者のセクソロジー - ビジネスリーダーのための性医学』、『SEXの謎解き 20歳前後の本 - これだけは知っておこう!』、『SEX Oh! - 危ない性の話』、『愛と性を説いて五十年 - 主婦会館クリニック所長の半生記』、『セックスレス・カップル - 時代が生み出した病』、『女、50歳からのHOW TO SEX - 夫婦生活が甦る新しい性のかたち』、『HOW TO SEX - 性についての方法』新装版などがあります。

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